『シー・トレマーズ』は環太平洋地域にモンスターが現れる映画だけどロボットは出てこなかった!

■シー・トレマーズ (監督:ブライアン・ユズナ 2010年オランダ・インドネシア映画)


海の底から怪獣がやってきて大騒ぎさ!というモンスター映画です。舞台は東スマトラ沖、ここに密漁目的で海上に建てられた掘っ立て小屋があり、いたいけな子供たちが売られてきて強制労働させられていたわけですよ。今日も幼い兄妹が酷い仕打ちを受けていたんですな。
兄「ギギギ!つらいのう!つらいのう!」妹「無賃金!長時間労働!虐待!ここはブラック企業中のブラック企業だわ!」兄「我らプロレタリアートに対するブルジョワジーの搾取だ!革命だ!革命起こしちゃる!立て万国の労働者!」妹「兄やん、でも私たち子供だからそんな力はないでしょ…」兄「くうう…ッ!こうなったら大魔神さまにお願いするしか…ッ!?」妹「兄やんそれ映画が違うわ…それに時代が古過ぎ…」兄「じゃあいったいどうすればッ!?」
…という会話があったかどうか覚えていないんですが、そこに現れたのが大怪獣!くら〜い海の底から触手(正確には尻尾なんですが)を伸ばし、悪い奴らを一人また一人と食い殺してゆく!とまあこんな映画なんですな。しかし舞台が東スマトラ沖、というまさにパシフィック・リムな場所に大怪獣が登場するにもかかわらず、残念なことに怪獣迎撃用巨人兵器とかは出てきません!きっとお休みの日だったんでしょうね!だからロボットアクションを期待してる人は見ないほうがいいと思うよ!あと邦題が『シー・トレマーズ』になってるけど、あの『トレマーズ』とは一切合財何も何一つも関係ありません!
まあ映画としては普通にショボイです。シナリオは迷走してるし役者は大根だしモンスターは冷凍マグロみたいに動かねえし、そもそも正体見せた時の「え?これ?」といったガッカリ感がハンパありません。しかしショボイなりに演出はそんなにイラつかされるものでもないし、B級C級モンスター映画だと割り切って観ればガタガタ言うほど悪いもんでもありません。
それより、面白いなあ、と思ったのは舞台がインドネシアであること、だからインドネシア人の皆さんが映画の中心となっていることがちょっぴり新鮮だったことですね。それと、殆どの場面が洋上漁場ともいうべき掘っ立て小屋で進んでゆくんですが、こんな場所で子供たちが強制労働させられている、というシチュエーションがユニークに感じましたね。だいたい沖合いの海上にどうやってこんな掘っ立て小屋が建つのかは謎なんですが、ひょっとしてあちらの国ではよくあるものなのかしらん?
物語的には、強制労働させられている兄妹の妹のほうが、モンスターとなんらかの結びつきがあるようなないような描き方をされていたんですが、この辺もうちょっとはっきり描いたほうが締まったんじゃないかなあ。まあラストで「ああなるほど」と思わされはしますが。

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