おもしろニッポン大炸裂!〜映画『ウルヴァリン:SAMURAI』

ウルヴァリン:SAMURAI (監督:ジェームズ・マンゴールド 2013年アメリカ映画)


変なニッポンの登場する映画が好きだ。ありえないニッポンの、誤解されたニッポンの、適当なニッポンの、嘘まみれのニッポンの、登場する映画が好きだ。フジヤマ、ゲイシャ、サムライ、ニンジャ。ガイジンがうろ覚えのキーワードだけで作った外国映画が好きだ。というわけで、そんなおもしろニッポン大炸裂映画『ウルヴァリン:SAMURAI』です。
この『ウルヴァリン:SAMURAI』、ウルヴァリンを主人公に据え『X-MEN』シリーズの外伝として作られた『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の続編なんですが、実はオレ、『X-MEN』シリーズってそれほど好きじゃなくて、それってキャラが多すぎてガチャガチャしてるからなんですが、だからなのか逆に『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のほうが全然好きだったりするんですよね。大風呂敷過ぎないスケール感と適度なB級感が気楽に観られてよかったんですよ。だからその続編の『ウルヴァリン:SAMURAI』も、予告編からしてじわじわと変なニッポンの描かれ方が見え隠れするB級感が満載で、とても楽しみにしていたんですよ。
いやーそれにしても実際観てみると、予想をはるかに上回る変さ具合、これがもう、突っ込み所満載過ぎて、それを並べてると映画の内容全て説明しなきゃ気がすまなくなるぐらい変なシーンだらけで、いちいち書く気にならないぐらいです。だけど、変なニッポンの現実味の無さに突っ込む以前に、拳から刃が生える不死身の男ウルヴァリンだって、考えようによっちゃあ有り得ない存在ですけど!
でも、ホントはこの映画の製作者だって、ホントのニッポンの姿なんざ重々承知しているんでしょう。だからただ単に、あちらの国で「こういうふうなニッポンを見たい」と思われているニッポンを描いているだけなんでしょう。それに変だ変だとは書きましたが、実のところまるで勘違いというわけではなくて、スーパーヒーローの活躍する荒唐無稽なアクション映画として面白く作るんだったらこれぐらい盛り込まないとなあ、といったトゥーマッチ感で盛り上げてるだけなんです。ロケーションの位置や距離のおかしさだって、映画的な方便といった程度のものでしょう。
だからこんな変なニッポンのことばかり気になって、シナリオの滅茶苦茶さ加減を忘れてしまうそうになります!なにしろこの映画のシナリオ、登場人物がなにがやりたいのか、どこを目指しているのか、そもそも自分がなにやってるか判ってんのか、チンプンカンプンのちぐはぐさです!とってつけたような動機、容易く行われる趣旨変え、さらにその存在理由さえも怪しくなってきて、まともに観ようとすると拳からアダマンチウムの刃が出てきてスクリーンを引き裂きたくなること必至です!でも描かれるニッポンが変すぎて、それどころではないんです!
それと併せ、真っ赤な髪の毛をしたヒラメ顔の日本人ヒロインが出てきて観る者の見当識をさらに混乱させるんですね。このヒラメ顔ヒロイン、クリス・カニンガムソニーのPVに出てなかったっけ…と思ってたらさにあらず、世界的なモデルとして活躍されているそうで、映画のほうも観てるとだんだん愛嬌を感じてくるから不思議です。しかしなにもかもトゥーマッチ且つちぐはぐで気の休まらないこの映画、社長令嬢役で出ているもう一人の日本人ヒロインがとっても美形ちゃんで、このコを眺めていたらなんだか全てを許す気になりました!それとクライマックスに出てくるアレを元にしてコヨーテ・タンゴが製作されるんですね、わかります。
というわけで褒めてるんだか貶してるんだが訳の分からない文章になってしまいましたが、実際のところ大変面白く観ることができました!ただひとつ惜しいところはゲイシャが出てこないことだけです!
◎参考:『ウルヴァリン: SAMURAI』/ すきなものだけでいいです (ネタバレしてますがこの映画のニッポンがいかにヒドイか楽しく説明してあります)

[asin:B00DEEMS36:detail]