ジョンとデイブの異次元大作戦!?〜映画『クリーチャーズ 異次元からの侵略者』

クリーチャーズ 異次元からの侵略者 (監督:ドン・コスカレリ 2012年アメリカ映画)


ヤヴァいドラッグで超感覚を身に着けてしまったお兄ちゃん、ジョンとデイブが、異世界のクリーチャーによる地球侵略を阻止するためにてんやわんやの大活躍を繰り広げる、というコミカルなSFストーリーです。監督はドン・コスカレリ、知る人ぞ知るホラー映画『ファンタズム』の監督ですが、個人的には超名作『プレスリーVSミイラ男』の監督として非常に心服する人でもあります。
お話は主人公であるジョンとデイブが、ドラッグの作用で見る事が出来るようになってしまった不気味なクリーチャーたちを退治してゆくさまが描かれます。このクリーチャー、並行世界の地球を支配するコロックなる超知性が送り込んだ刺客らしいんですが、どれもB級テイスト溢れるグロ馬鹿馬鹿しさ溢れる造形でなかなか楽しい。フリーザーの中の食肉が寄せ集まって出来上がったミートマン(オレ命名。なんと頭が丸鶏)なんか一見の価値ありでしょう。
そしてこれもドラッグによる超感覚のせいでしょうか、起こる事件のどれも幻覚めいた物体の変身・変容、本来そこにある筈の無い物が存在する異物感、または見えている物が実は別の物であった錯視感、そういった異様な感覚による時空の捻じれ感が演出されているんですね。要するに世界がいつもグチャグチャとトロケまくっているような奇妙さがこの作品全体を覆っているんですね。この辺の夢かうつつか、といった雰囲気は監督の『ファンタズム』でも見られますが、この映画を観た多くの方が言及されているように『裸のランチ』あたりにも通じるものがありますね。
そしてそういったドラッギーな展開とは別に、主演の若者二人の呑気かつ能天気な活躍ぶりが新鮮でいいんですね。若者二人による化け物退治、といった設定は、ディーンとサムのウィンチェスター兄弟がアメリカ合衆国各地を旅しながらクリーチャーと闘うCATVドラマ『スーパーナチュラル』を彷彿させますし、若かりし頃のキアヌ・リーブスとアレックス・ウィンターが主演した『ビルとテッドの大冒険』『ビルとテッドの地獄旅行』あたりのロケンロールで奇天烈なノリとも大変近いものを感じました。
惜しむらくは予算のせいなのか後半息切れして、折角「異次元からの侵略!」と大風呂敷広げたのにスケール感が乏しかったこと、それと映画全体の演出にむらが多かったことが残念に感じました。しかしSFともホラーともコメディとも特定し難いヘンな映画でありながら、奇妙に愛着の湧く映画であることは間違いなく、またコスカレリ独特の幻惑的な作家性が非常に発揮された作品として評価するべき映画でもありましたね。やっぱりドアノブが突然チンコに変わるシーンは超名場面と言えるでしょう!
●参考:【SAMPLE】ビデオながら見日記 / クリーチャーズ 異次元からの侵略者
Tinker,Tailor,Soldier,Zombie : John Dies At The End(2012)
映画|John Dies at the End :: ホラーSHOX 【呪】

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