『ダーケストアワー 消滅』はちょっとグダグダだが昔懐かしい侵略SFの味わいだった

ダーケストアワー 消滅 (監督:クリス・ゴラック 2011年アメリカ・ロシア映画)


侵略SFが好きだ。侵略SFが、略奪SFが、蹂躙SFが、殲滅SFが好きだ。よろしい、ならば侵略だ!…という侵略SF映画ダーケストアワー 消滅』でございます。アメリカ人の若者二人が商用でやってきたモスクワで謎の異星人の侵略に遭遇!姿の見えない異星人たちはモスクワ市民を次から次へと消滅させてゆく!やがてもぬけの殻となった街で、若者二人を含む生き残った者たちが決死の脱出を試みるが!?というお話です。
前半の、異星人に襲われた人間がズビャッ!と灰になってしまう描写がいいですな。『ブレイド』や『宇宙戦争』でも似たような人体消滅VFXはありましたが、こちらのほうが灰がグルンッ!と輪になって宙を舞う感じが進化しているとは言えないでしょうか。で、この異星人、なにやら電磁波で出来た生物らしく、そのせいで目に見えない、ということらしいんですが、なんかバチバチした電気のもやみたいのは見えるんですな。この目に見えない敵という設定、だからこそどこから襲ってくるか分からないという恐怖、そして襲われた者は灰になって死ぬ、というビジュアルがこの映画のキモとなっているんですな。
で、中盤から人間たちの反撃が始まるんですが、この異星人から身を守る方法、撃退する方法が段々分かってきて、普通ならどんどん面白くなってきそうなところが、逆に物語がどんどんグダグダになってきてしまいまして、ラストもなんだか尻すぼみ、盛り上がりに欠ける結末となってしまっているのが実に惜しいんですな。ただ自分はこの映画、なんだか意外と好きですね。モスクワというロケーション、異星人や灰になる人間のVFXには新しいものを感じますが、物語に通底するのは『トリフィドの日』や『盗まれた街』みたいな60年代70年代の懐かしの侵略SFなんですよ。だいたいオレ、「なんらかの災厄でもぬけの殻になった街」っていう光景大好きなんですよね。朝早く起きて誰もいない街歩いて「世界は滅んじゃってオレ一人だウシシ」とかよく妄想してましたね。いったいなにやってるんですかね。
それと、映画の全体的な雰囲気は『スカイライン』に近いんですね。VFXマンが「こんなビジュアルやりてえ!」ってことで作られた『スカイライン』、物語展開がしょっぱかったですが確かにVFXは楽しかった、この『ダーケストアワー 消滅』もそういう映画なんでありますよ。多分製作者は冒頭のヴィジュアルだけが頭にあってそれを物語にしようとしたんだけど、いかんせんビジュアルは上手くいったけどストーリーテリングの才能はなかった、ってことなんではないでしょうか。そういった意味じゃダメな人にはとことんヘボい映画に見えちゃうんじゃないかと思いますけどB級SFだと納得づくでみればそれほど悪いもんじゃありません。
あと、最近公開されて一部で話題になった『ジャッジ・ドレッド』のエスパー少女役だったオリヴィア・サールビーさんがヒロインやっておりまして、『ジャッジ・ドレッド』でちょっと萌えたワタクシには嬉しい映画でありましたよ。

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