最近ダラ観したあんな映画こんな映画〜『ボーン・レガシー』『そして友よ、静かに死ね』『エイリアン バスターズ 』『劇場版 TIGER&BUNNY -The Beginning-』

ボーン・レガシー (監督:トニー・ギルロイ 2012年アメリカ映画)

ジェイソン・ボーン・トリロジー完結後に「実はあのお話の背後ではあんなことやこんなことがあった!」という内容で作られた新シリーズです。今回からの主人公はアーロン・クロスさん、『ハート・ロッカー』のジェレミー・レナーさんが演じておられます。ジェイソン・ボーン・シリーズでは工作員を暗殺者として洗脳する「トレッドストーン計画」なる陰謀がお話の中心となっていましたが、この「レガシー」では薬物により心身を改造する「アウトカム計画」なるものが進行しております。しかしこの計画の全貌が漏洩しそうになったため、例によって天下の悪玉集団CIAの連中が計画隠蔽の為に係っていた者を皆殺ししにかかるんですな。冒頭の次から次へとバタバタと殺されてゆく関係者の描写がとっても怖くて楽しいです。しかーし!主人公アーロンさんはその粛清をからくも生き延び、それを察知したCIAの魔の手から逃れようと奮戦するわけです。まあこっからは例によって追いつ追われつのドンパチです。ジェイソン・ボーン・シリーズと何が違うのかと言えば主人公とヒロインが違うだけでやっていることは大差ありません。まあ今回の「アウトカム計画」は薬物投与により心身改造が行われていた為、薬が切れると主人公が弱っちくなる、という弱点を持っているのが違うと言えば違うでしょうか。だから「変わり映えしななあ」といえばそれまでですが、まあジェイソン・ボーン・シリーズよりは薄口にせよ、「CIA!陰謀!孤立無援!ドンパチ!」というキーワードだけでハァハァ言ってしまうようなワタクシのような単細胞にはまあそんなに悪くはない普通に楽しめるアクション映画でありました。

そして友よ、静かに死ね (監督オリヴィエ・マルシャル 2011年フランス映画)

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「わけえ頃はわしもだいぶヤンチャしておったもんよのう!ふぉっふぉっふぉっ!」と言っていたかどうか確かではありませんが、既に引退して悠々自適の生活を送っていた元ギャングの爺さんのもとに、かつてのダチ公が逮捕された!という一報が届くわけです。で、爺さんは手練れの者を連れてそのダチ公を救う為に再び血まみれの修羅場に乗り込むんですが、それは新たな殺戮劇の幕開けにすぎなかった!というフレンチ・ノワールであります。しかしこの辺のフレンチ・ノワールを観ていてよく思うのは(まあそんなに観ているわけじゃありませんが)出てくる俳優がみ〜んななんだか風雨と忍苦と怨念の染み付きまくったような、苦虫100匹ぐらい口の中に放り込んで三日三晩わしゃわしゃわしゃわしゃと咀嚼しまくったような、そんな渋くて怖い顔しているんですよねえ。ハリウッドあたりでお見かけするような優男風のチャラ臭い俳優なんて見事に一人も出てこないんですよね。この映画はそんな渋くて怖いフランス俳優の顏をお腹いっぱい観られる、そういう映画として仕上がっているんですよ。あとロマ族と呼ばれるいわゆるジプシーの民がギャングの一員として出てくるのがフランス社会の裏面を垣間見せてくれてちょっと興味が惹かれました。

■エイリアン バスターズ (監督:監督 アキヴァ・シェイファー 2012年アメリカ映画)

田舎の大型量販店(コストコ)で深夜に起こった惨殺事件!ベン・スティラー演じる店の店長は「警察なんかにゃ任せておけない!」とばかりに自警団結成を呼び掛けるも、集まったのはたった3人、しかもどうにもビミョーな連中ばかり、まあこれでもいないよりはましだ、と凸凹自警団が出動するわけですが、なんと気色の悪いエイリアンと遭遇しちゃう!どうやらこいつが殺人犯なんだろうけれど、単なるバカに勝ち目はあるのか!?というコメディ映画です。凸凹自警団の面々は特別にヘンテコって訳でもないんですが、そのビミョーさ加減がなんだかどうにもゾワゾワと可笑しい、シナリオもきめ細かく編集もテンポよく、派手さや大爆笑を誘うギャグはないにせよ、痒い所に手が届くような出来栄えのコメディなんですよ。で、エイリアンが出てきてどうとかいうストーリーだけど、本当は寂しいおっさん同士がじゃれあってる、自警団という場で出会ってキャッキャウフフしている、そしてついでにバカやっちゃったりしている、その「ビミョーで世間から浮いちゃってるおっさん同士が肩寄せ合いバカ言い合いながら生き難い人生に居場所を見つけようとしている」ってところが、同じ「ビミョーで世間から浮いちゃってるおっさん」であるオレにとってなんだか身につまされるものを感じましたね。

■劇場版 TIGER&BUNNY -The Beginning- (監督:米たにヨシトモ 2012年日本映画)

こういった日本のTVアニメに関しては門外漢なんですが、この「TIGER&BUNNY」は以前から世界観・キャラ設定・ビジュアルに高いクオリティとユニークさを感じていて、今回劇場版として製作された作品を観てみることにしました。それにしてもタツノコ・プロだったんですね、この作品。物語的には食い足りない部分も感じましたが、基本的にはキャラありきの物語なので退屈することはありませんでした。ただしTV版の映像を一部流用することによりグラフィック的にちぐはぐなものを感じた部分で残念でした。お話としては「超能力を持ってしまった人々が派手なコスチュームを着てTVショウのヒーローとなって事件を解決する」といったものなんですが、これなんかはアメコミを髣髴させつつヒーローというものの解釈といった点で非常に自由でフレキシブルな観点を持っていると感じました。ある意味アニメ・特撮にかかわらず日本のヒーローものというのはアメコミとは別ベクトルで突出しているうえに進歩したものだと言えると思います。要するに馬鹿にできないポテンシャルをきちんと持ってるな、ということです。まあこういうことは特撮・アニメファンの方にとって自明の理だったりするのでしょうが、一般の人にはなかなか解り難い部分があるかもしれません。