ダイ・ハード新作はちょっと短いけど今回も大ハードに楽しいアクション映画だったッ!!〜映画『ダイ・ハード ラスト・デイ』

ダイ・ハード ラスト・デイ (監督:ジョン・ムーア 2013年アメリカ・ハンガリー映画)

■悪運がッ!?悪運がァ〜〜ッ!?

あの悪運オヤジが帰ってきた…ッ!?というダイ・ハード・シリーズ第5作目、『ダイ・ハード ラスト・デイ』であります。今回はそりの合わない息子と一緒にロシアを舞台に大銃撃!大爆破!大破壊!大殺戮!といういつものように大ハードなダイ・ハードなんでございますな。
ダイ・ハード・シリーズって大好きなんですよう。シリーズはVHSで買って次にDVD-Boxで買ってさらにBlu-ray Boxで全部買い直したぐらい好きなんです。人によっちゃあ何作目が好きで何作目はダメ、というのはあるかもしれませんが、オレはもうみんな好き!大ハードに大好きでありますね。なんかこう余計な小理屈無くて頭空っぽにして観られて派手派手に銃撃と爆破があって適度にユーモアがあってきちんとサスペンスもあってそしてキャラが立ってて、エンターティメントの鑑みたいなシリーズじゃないですか。

■「ダイ・ハード」らしさってなんだベ?

こういうアクション・シリーズって数ありますが、ダイ・ハード・シリーズの"ダイ・ハードらしさ"ってなんなのかなあ、と思ったんですよ。例えば『007』だとジョーン・バリーの007のテーマが流れるとそれだけで「うおお007だゼァ!」と盛り上がるし、『リーサル・ウェポン』だとメル・ギブソンの横でダニー・グローヴァーがあたふたしてればそれがリーサル・ウェポンだと言えるし、『ミッション・インポッシブル』だと毎作カラーが違うけどトム・クルーズが「俺、イーサン・ホークだから」と言えば鼻くそほじっててもそれでミッション・インポッシブルになっちゃうわけだし、『オースティン・パワーズ』だと変な洋服着たマイク・マイヤーズが「モージョー!」とか言ってればそこは『オースティン・パワーズ』の世界なんですね。最後アクション映画かどうか分かりませんが。
で、『ダイ・ハード』のダイ・ハードらしさってやっぱり冴えないおっさんがボヤキながら敵と戦う、これだと思うんですね。ボヤキ漫才というのがありますがダイ・ハードこそは「ボヤキ・アクション」ジャンルの真骨頂ではないのか、と斯様に思う訳なのでありますよ。そしてやせ我慢して悪いヤツに減らず口を叩き、その悪いヤツをブチ切らせて面白がる(そしてそのあとボコられる)、このあたりもですね、『ダイ・ハ−ド』を観る醍醐味、そのように認識しているのでありますね*1。でまあ、主人公のジョン・マクレーンさんはですね、あれだけの悪いヤツらを倒してますから、職業的には有能なんでしょうが、世間一般から見ると普通にダメ親父といいますか若年女子あたりからだと「きんもー!くっさー!」と言われそうなその辺のおっさんなんですね。この「一見その辺のおっさん」が「昼間のパパは男だぜ(by清志郎)」とばかりに戦う姿に『ダイ・ハード』の美しさがあるのではないか、とそう感ずるわけなのでありますよ。

■細かいことはいいんだと思うの(はあと)

そういった点でいえばですね、今回の『ダイ・ハード ラスト・デイ』、実にダイ・ハードらしいダイ・ハード映画でありまして、ダイ・ハードが大ハードに好きなワタクシメと致しましては、非常に満足、及第点クリア、大変よくできましたハンコ入り、星取表ではスター乱れ飛び、料金1800円まるまんま楽しませていただいた作品でありましたですね、映画観終わった後は「イピカイエー!」と連発しながら劇場出てきましたね。確かにシナリオはよく考えると穴も多く、よく考えなくてもでっかい穴もあり、意識の高い方が「イカンねえ遺憾だねえ」といいたがるようなシーンもあったりしますが、まあぶっちゃけ「こまけぇこたぁいいんだよ!!(byマーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ)」と一言言っとけば済みそうな瑕疵なわけですよ。そういう瑕疵もありつつ、大胆で派手で普通に考えれば有り得ないシチュエーションをシレッとした顔で映像化しているこのセンス、シナリオ担当が『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』を手掛けたスキップ・ウッズの手腕に寄るところが大きいんじゃないでしょうかね。『特攻野郎〜』も好きな映画だったもんなあ。
ロシアというこれまでと違う海外での舞台、息子とのバディ・ムービーとしての側面、といったこれまでのダイ・ハードとは違う要素といいますかテコ入れをしている今作ではありますが、自分的にいいな〜と思ったのはハリウッド映画ではあまりお目にかかれないロシア・東欧ならではの軍事車両や武器がてんこ盛りになって画面に登場、という点ですね。まず冒頭の敵の装甲車、禍々しくてよかったですねえ。あれ耐地雷待ち伏せ防護車・MRAPの改造車らしいですね。これを追うマクレーンの車両がウニモグメルセデス・ベンツの多目的作業用自動車で、ずんぐりむっくりのデザインが素敵ですよね。そして今回の撮影のためにハンガリー空軍から特別に貸し出されたというミル24攻撃ヘリコプター、さらに映画初登場となる世界最大の輸送ヘリコプターミル26(チェルノブイリで消火活動で使用されたそうです)など、観ているだけで『コール・オブ・デューティー』的な東欧紛争の世界を思い浮かべられて楽しかったなあ。

■もっと長さを!もっとしつこく!

そんなとっても楽しかった今回の『ダイ・ハード ラスト・デイ』ですが、ちょっと不満が無いわけでもないんですよ〜まあまあ聞いてやってくださいよ。あのねーやっぱりねー短いんですよね今回の作品。これまでのシリーズが120分超えだったのに対し今回は98分、全然短いんですよね。短いから物足りなかったとかいうのではなく、これはこれで手堅くまとまっていたし散々書いてきたように全然面白かったんですがね、やっぱり"ダイ・ハードらしさ"のもうひとつの点、それはですね、マクレーンがしつこくしつこく敵に食い下がり、そのしつこさに敵が辟易し、呆れ返り、逆上する、これだと思うのですよ。
そのしつこさというのは出来上がった映画にも反映して上映時間が長くなっていて、正直観ているこっちも「まだやんのか!?」「長い!」と思わせてしまうんですね。しかしこの「まだやんのか!?」「長い!」というのも「ダイ・ハード」の大事な特色だと思うんですよ。敵は完全武装の軍隊並の豊富な人員と武器を持っていて、これに徒手空拳の主人公が挑むときに、それを勝利へと導くのは不屈の執念、蛇のしつこさ、まさにこれじゃないですか。このしつこさが今回の『ダイ・ハード ラスト・デイ』には見られなかった、ちょっと007やミッション・インポッシブルみたいにスマートに敵を倒し過ぎた、ここがですね、不満としては不満ですね。というわけで次回はしつこすぎて犬も食わないマクレーンさんが大活躍する『ダイ・ハード ザ・ロング・アンド・ワインディング・デイ』とかいうタイトルでリベンジしてください!でもとっても楽しい映画だったよ!

A Good Day to Die Hard-Original Soundtrack

A Good Day to Die Hard-Original Soundtrack

*1:結構印象で書いているので実際探してみたらそんなシーンなんか無かった!なんていうこともありえますがその時はゴメンナサイ