最近ダラ観したBlu-rayだのDVDだの / 『ラ・ワン』『バイオハザード V リトリビューション』『フライペーパー!史上最低の銀行強盗』『きっとここが帰る場所』

ラ・ワン (監督:アヌバウ・シンハー 2011年インド映画)

ラ・ワン [DVD]

ラ・ワン [DVD]

  • シャー・ルク・カーン
Amazon
『ロボット』の姉妹編のように紹介されているこのインド映画、ゲームの世界から飛び出した究極の悪のボスキャラと善玉ヒーローとが戦う、というお話なのですが、観方によっては昨年公開された『アベンジャーズ』や『ダークナイトライジング』や『アメイジングスパイダーマン』あたりの「既に有名でイメージも出来上がっているアメコミヒーロー映画」よりも新鮮味が溢れているという部分で面白かったんですよ!設定も含め『ロボット』並の突っ込み所満載のインチキ臭さ(褒め言葉)で冒頭は笑わせてくれたりするんですが、主人公だと思っていたゲーム制作者と彼をモデルに制作されたヒーローキャラが入れ替わってしまう部分から、ヒーロー映画テーマとは別に「かけがえのない家族」についてのテーマも併せて描かれ出し、そういった重層的なテーマの在り方が物語に深みをもたらしているんですね。ここでもコメディ・タッチの演出は存分になされるんですが、同時にアイロニカルでもあったりする部分がいいんですね。勿論インド映画らしい歌と踊りもきっちり見せてくれ、楽しさはなおさら倍加してるんです。そして悪玉とヒーローとの戦いは、これはオチャラケなしの熾烈なバトルを見せ、インド映画らしい無茶なアクションがポンポンと飛び出し、ゲーム世界というサイバーチックな演出も入ってひたすら楽しませてくれる良作SFアクションとして完成していましたね。これはお勧めですよ!

バイオハザード V リトリビューション (監督:ポール・W・S・アンダーソン 2012年カナダ/ドイツ映画)

バイオハザード』シリーズというのは、「見せ場だけ繋いで物語は全然空っぽ、整合性はお座成り」「派手なアクション見せたいばかりにリアリティは皆無」という映画なんですが、逆に「ゲームを補完するイメージ映像集」と割り切って観ると、その派手さと馬鹿馬鹿しさはそれほど悪いもんじゃありません。そして今回は舞台をアンブレラ社の巨大な実験施設、というふうに限定したことで、従来あった「舞台から舞台への距離感を完全無視」という悪い癖が出ておらず、意外とまとまりよく出来ているんですね。そして今まであった「世界は殆ど滅んじゃってるのにアンブレラなにやりたいの?」という疑問も「AIの叛乱」という形で説明できてるんですよ。そういった部分でこの『V』、実はシリーズの中でも結構よく出来てるんじゃないかと思いましたね。

フライペーパー!史上最低の銀行強盗 (監督:ロブ・ミンコフ 2011年アメリカ/ドイツ映画)

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の脚本家コンビ、ジョン・ルーカスとスコット・ムーアが手がけたアクション・コメディーというのと、ネットでの評判が結構いいので観てみました。2組の銀行強盗がたまたま同じ日に銀行を襲撃する、という物語自体意表を突くもので、その銀行強盗犯たちと監禁された銀行職員・客らのドタバタが面白いのですが、物語はそれだけに留まらず、実は2組の銀行強盗が鉢合わせるように仕組んだ第3の強盗がいる、という新展開を迎えてから、今度はその第3の強盗は誰か?という推理ドラマになっていく、というひねりのあるシナリオがいいですね。惜しむらくはヒロインがなんだか普通におばちゃんで、観ているこっちの盛り上がりに欠ける、という部分でしょうか。

きっとここが帰る場所 (監督:パオロ・ソレンティーノ2011年イタリア/フランス/アイルランド映画

引きこもりの元ロックシンガーが死んだ父の思い出を訪ねてアメリカを旅する、というロード・ムービーなんですが、ショーン・ペン演じる元ロックシンガーがロックの人に全然見えなくて、どちらかというと元ドラァグ・クイーンの人にしか見えない、という部分でダメでしたね。いわゆるニューウェーブ系のゴスなロッカーみたいなんですが、別にテンプレ通りで構わないからもっとロックっぽい言動や行動がないと、観ていて「なんでロックシンガーだっていう必然性があるの?」って思っちゃうんですよね。まあ元ドラァグ・クイーンの人でも別に問題ないので、自分では途中からそう思うことにして観ていましたけどね。ただ、細かい台詞の端々やその出されるタイミングが実にセンスに溢れた映画でもあり、また物語途中からナチ戦犯を追う物語へと様変わりしてから単なるロードムービーにとどまらない面白さを見せ始め、それほど悪い映画ではないんですよ。結局主演の完璧な演出ミスだったと思うんですけどね。