【大友克洋GENGA展】の公式図録〜『GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES』

GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES -
この『GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES』は現在「3331 Arts Chiyoda」で行われている【大友克洋GENGA展】の公式図録です。ちなみに【大友克洋GENGA展】には行ってません。完全予約制とか入館時間は30分限定とか土日は既にSoldOutとか、なんかもういいやあって感じで。その代わりに購入したのがこの公式図録なんですが、「いやちょっと待ってよ、これまでコミックや画集『KABA』に収められていた作品が再録されているだけなんでしょ?コミックも画集も持ってるからいらないや」と思ったら大間違いなんですよ。
『GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES』は1973年のデビュー作から最近のイラストレーションの仕事までを網羅しており、これらコミック・イラスト作品の代表的な一コマ一コマをコラージュ・トリミングしながら怒涛の如き分量で見せていくんです。まず版形がデカイ。36.1 x 2 x 25.7 cmある。だから収められているグラフィックも手書き原寸大で見られるものも多い。
そしてできるだけ生原稿の状態に近い画像で収録されている。ベタの塗りムラやホワイトによる修正もはっきりわかるし、原稿用紙に染みがあったり、吹き出しの中の手書きの台詞の上から活字のネームが貼られている様子まで分かるようになっている。そういった部分で、「原画」の雰囲気が手に取るように伝わってくるんですね。そうして250数ページ、大友克洋の39年に渡る軌跡が濃縮されて眼前に展開してゆく。これは迫力あります。
見所はやはり初期〜『AKIRA』までの漫画原稿でしょう。大友作品は残らず読んでいるつもりですが、こうして新たに並べられた原稿を見るにつけ、大友克洋の"凄さ"を改めて発見してしまいます。初期作品に多く見られる日本的な湿った情念、中期短編に見え隠れするメビウスへの接近、『童夢』『AKIRA』で開花する大友ワールド、それら全てに共通する驚くべき描写力、この公式図録のページをめくればめくるほどのめりこむように大友の"画"に魅入っている自分に気付かされます。逆に後期の彩色されたイラスト集は画集『KABA』を持っていたら特に収録されている必要は感じませんでした。なんにしろ、大友克洋をまるごと収めたこの『GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES』、一見の価値のある画集になっていると思いますよ。

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