今度のホームズはヨーロッパが舞台だ!〜映画『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』

シャーロック・ホームズ シャドウゲーム (監督:ガイ・リッチー 2011年アメリカ映画)

  • ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウがホームズとワトソンを演じ大ヒットした2009年の映画『シャーロック・ホームズ』の続編です。
  • 前作は知性派な原作ホームズのイメージと離れた肉体派でしかもちょとだらしないホームズが主役を演じるアクション主体の映画でしたが、逆にそんなイメージを裏切る部分が楽しめた映画でした。それと合わせセットとCGIで事細かに再現された19世紀のロンドンの雰囲気がとってもリアルで、それにスチーム・パンク的な味付けが施され、自分もとてもお気に入りの映画でした。
  • さて今作、アクションは前作を上回る派手さになっており、爆破・銃撃・破壊はてんこ盛り、さらにロケーションもロンドンを離れ、フランス、ドイツ、スイスとホームズがヨーロッパを股に掛けた大活躍を見せます。つまりこの『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』、前作をさらにグレードアップさせたゴージャス版として完成しているんですね。
  • そして今作のホームズの敵は前作でちらりとだけ姿を見せたモリアーティ教授。原作でもホームズの宿敵として現れたモリアーティ教授はホームズさえ上回るその悪魔的な頭脳で、ホームズと仲間たちを絶対の危機に陥れるんですね。
  • そんなこの『シャドウゲーム』が前作を上回るほど面白かったのか、というと、えーっとちょっと…と思っちゃうんですよ。
  • 前作で見せたホームズの破天荒な解釈や一瞬で戦局を見切る鋭利な判断力の描写、そして盟友ワトソンとのコミカルなやり取りはそのままなんですが、そのままなだけにそれだけだともう新鮮味を感じなかったんです。なんだか前作と同じ事やっているなあって気がしちゃったんですよ。逆に言えば同じだからこそ前作ファンは楽しめるだろうとも言えるので、この辺は好みなんだと思いますけどね。
  • そして爆破だ銃撃だ、とどんどん派手になり、さらにヨーロッパを股に掛けて世界の危機を救う、というこの物語は、いくらホームズのイメージから離れていることが前提の物語とはいえ、ちょっと遣り過ぎなんじゃないかなあ、と感じてしまったんですよ。
  • 要するにこの物語って、19世紀を舞台にした007でありミッション・インポッシブルなんですね。そういう物語があってもいいし、十分面白くできるだろうし、実際、この映画も力のこもった演出がされていることは間違いないのですが、これ別にホームズじゃなくてもよくない?と思えてしまったんです。このシナリオでホームズを登場させない物語にしても、結局成り立っちゃう部分が多いんですよね。
  • 007やミッション・インポッシブルをその作品らしくさせているのはその"世界観"なのですが、この『シャーロック・ホームズ』の世界観はどこら辺にあったかというと、それは19世紀のロンドンの佇まいだったと思うんですよ。そういった点で今作は1作目で構築した世界観を逸脱してしまったんじゃないかな、と思ったんです。
  • 自分としては、あくまでもヴィクトリア朝産業革命の匂いの残るイギリス、そしてそこに住むホームズというものにこだわってもらいたかったんですね。そういった部分で個人的に不満を感じてしまいましたが、映画的には決して退屈させないアクション娯楽作品に仕上がっていると思いますよ。

シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム 予告編


シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム オリジナル・サウンドトラック

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