まさに戦争アトラクション〜ゲーム『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』


多分今世界で最も人気の高いミリタリーFPSシリーズの最新作、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3(MW3)』である。どれだけ人気が高いかと言うとこの『MW3』、11月7日に世界で発売され5日間で7億7500万ドル(約597億円)を稼ぎ出したのらしい。これはゲームのみならず映画、音楽、本などのエンターティメント部門における史上最高の売り上げだという話だ。かねがね昨今のゲームは映画なんぞを軽く越える極上のエンターティメントだと思っていたが、この『MW3』はゲームというよりも既にアトラクションと言ってもいいほどの臨場感とリアリティを兼ね備えたエンターティメントとして完成している。そう、『MW3』は戦争ゲームというよりもはや戦争アトラクションなのだ。

『MW』シリーズは近未来戦の世界戦争をテーマにしたFPSだ。現実の兵器よりも一歩先の性能を持つ武器や装備が多数登場し、現実の世界各国の都市、世界の紛争地帯を舞台に戦闘は展開され、文字通り「第3次世界大戦」の真っ只中で、その戦争を終結すべく特殊部隊の一員となってありとあらゆる国で戦闘を行うのだ。この「現実に想定しうる近未来戦」において最新戦争テクノロジーのリアルな武器を使用し戦闘する、という部分がこのゲームの醍醐味だ。冒頭ではハドソン川に押し寄せる敵艦隊と上陸した敵兵を殲滅すべく瓦礫と化したニューヨークで防衛戦が展開される。ロンドンではビッグベン周辺での大規模戦闘、さらに地下鉄構内での列車対トラックの追跡劇が描かれ、パリではセーヌ川周辺を舞台にパリの美しい街を破壊の限りを尽くしながらの戦闘が行われ、遂にはエッフェル塔の倒壊までが描かれる。そして舞台はさらにインド、ドイツなど世界のあらゆる国に飛び火するのだ。

【ストーリー】5年前の戦いで、指導者である「イムラン・ザカエフ」を失った超国家主義者だが、より凶暴なリーダーが登場する。かつて「ザカエフの狂犬」と恐れられ、手段を選ばない凶暴な男、ウラジミール・マカロフ。彼の陰謀によって踊らされたロシア軍により、ワシントンD.C.を含むアメリカ合衆国は戦場と化してしまう。5年前の戦いの英雄である「ソープ・マクタビッシュ」や、常にサングラスと頭蓋骨を模したバラクラバ(覆面)で素顔を隠す「ゴースト」など、様々な国から精鋭からなる特殊部隊「タスクフォース141」は、マカロフの陰謀を打ち砕くため、世界中の様々な場所で任務を遂行する。ところが、ある男の裏切りによって、ソープたちは世界中から追われる身となってしまうのであった。そしてマカロフの計画は、次の段階へ。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ。ひとりの男の野望によって、世界中を巻き込んだ戦争が今、幕を開ける。


とはいえ、この『3』は1作目からのストーリーを引き継ぎながら展開しているが、そもそもゲームにとってストーリーなんざあくまで背景、要するに「極悪テロリストの陰謀で世界は大戦争の真っ只中、地球上のあっちこっちでぶち殺しまくりぶち壊しまくりの大破壊行為が進行中」というものだと分かればそれでよく、1、2作目をやってなくてもこの『3』から始めて「撃って撃って撃ちまくってやるんだぜヒャッハーー!!」と狂乱の戦闘劇に参加しても全然OKだ。

今年発売された『メダル・オブ・オナー』や『バトルフィールド』といったミリタリーFPSシリーズの最新作も購入し、そのキャンペーン(ストーリー・モード)を一通りプレイしたが、方向性がそれぞれ違うとはいえ、やはりこの『MW3』のキャンペーンの密度の濃さは半端ではない。『MW』シリーズはその情け容赦無い弾幕の厚さと四方八方から狙い撃ちされる油断の無さ、敵味方入り乱れながらの殆どカオスと言っていい混戦状態が特徴的なシリーズだが、今回もアドレナリン全開の熾烈な戦闘が延々と演出される。そこでは血で血を洗う大規模な白兵戦があり、航空機を駆っての地上掃討作戦があり、さらに極秘潜入、陰謀の主導者の追跡、要人の警護、人質の奪還など様々なミッションが行われるのだ。