『スター・ウォーズ コンプリート・サーガ ブルーレイBOX』観た (その1)


ちょっと前に発売されていた『スター・ウォーズ コンプリート・サーガ ブルーレイBOX』、自分も買いました(相方さんには「おっさんホイホイのアイテムねえ」と言われてしまった…)。「スター・ウォーズ エピソードI-VI」本編ディスクが各1枚、そして特典ディスクが3枚の計9枚組というとんでもない仕様で、特典ディスクだけでも40時間あるとかないとか。オレのようなSWマスターは既に映画館やビデオやDVDでシリーズそれぞれ5万回ぐらい観ていますが、このBlu-ray発売でさらに5万回ぐらい観る事になるのかと思うと嬉しい悲鳴で近所から苦情が来た挙げ句警察沙汰になり終いには特殊な病院に監禁されそうな勢いです。
さて取り合えずエピソード1〜6を観たんですが、いやあ当然のことですがBlu-rayの画像、綺麗です。しかしそもそもDVDソフトの段階で相当美しい映像を再現していたので、「驚くほど」というよりも、「こんな細かい部分も観られて嬉しい」といった感想でしょうかね。それもCGで製作された画面よりも衣装の素材感やディテールがそれこそ手に取るように分かるんですよね。全体的に色彩もビビッドになったように感じます。それとやはり音響ですね。どのBlu-rayソフトでもそうですが、サウンドトラックや効果音がくっきりとした輪郭で立ち上がるんですよ。音の良さが耳に残ったせいなのか、本編ディスク見終わった後は暫くSWのテーマを口ずさみながら過ごしていました。
さてSWほどの映画になると既に様々なことが語られつくしているでしょうが、野暮を承知で思いついたことや公開当時の思い出をつらつら書いてみることにしましょう。なお便宜的に公開順という事にさせて下さい。

スター・ウォーズ エピソード4 / 新たなる希望 (監督:ジョージ・ルーカス 1977年アメリカ映画)


SWの記念すべき第1作、日本でロードショー公開されたのはオレが中学3年の時で、勿論この時に観に行きました。でも実は、これが面白かったかというと微妙なんです。これには訳があるんですよ。アメリカで公開されたのは1977年5月、爆発的にヒットしたのは言うまでも無いのですが、これが日本で公開されたのは翌1978年の7月、なんと一年以上も待たされたんですよ!?これ、アメリカの大ヒット作とはいえ、SF映画という当時どちらかというとマニアや子供向けだったジャンルの作品を日本でもヒットさせるために、どこぞの大手広告代理店の計略で、アメリカ公開から日本公開の1年余り、宣伝に宣伝を重ねて日本の映画ファンをプロモーション漬けにしてしまったんですね。
早く見たい気持ちを抑えて様々なSW情報を漁り、グッズを買い、そうして1年が経った後にはまだ観てもいないSWについて、知らないことが一つも無いという状態だったんです。そんな状態で映画を観たとしても、やっと観れたという喜びこそあれ、映画を楽しむということが出来たかというとそれは全然無かったんですよ。大体想像できます?今みたいにネットも安価ソフトも無い時代、アメリカでも世界でもno.1大ヒットした作品が1年後にしか観られないなんていう状態が?その間目の前にぶら下げた人参みたいに延々情報垂れ流しにされ続けるという事態が?それが今では映画史に残る作品と言って過言ではないSWで行われたという事が?今でも本当に酷い話だと思いますよ。
あともうひとつ、この映画には酷い思い出があってね。SWを2度目に観に行ったとき、その時好きだった女子が運動部イケメン男子と一緒に映画入っていくのを見ちゃったんですよ!もうオレSW観ながら心が千路に乱れ、そんな気持ちを払拭すべく、デススターが大爆発した時は劇場でたった一人、ヤケクソになってパチパチ拍手喝采してましたね!いいんだ!オレには…オレにはSWがあるんだから!


スター・ウォーズ エピソード5 / 帝国の逆襲 (監督:アーヴィン・カーシュナー 1980年アメリカ映画)


これ、実はそんなに楽しみにして観に行ってないんです。前作のことがあったんで、SWというお話にちょっと醒めちゃってたんですね。だからロードショー公開後の2番館落ち、いわゆる名画座というところで観たような記憶があります。しかも鰻の寝床みたいな劇場の一番後ろだったんで、画面がちっちゃくしか見えなくてね。ちっちゃい画面のSWって悲しいですよね。
作品としても、SW物語の新たな展開が山盛りの物語だったにもかかわらず、完結篇に続く、という形の尻切れトンボな終わり方だったので、個人的には若干欲求不満が残りました。それと、1作目にあるような広々としていてエキゾチックな現実世界のロケーションというのが存在せず、せいぜい冒頭の雪原だけだったというのも、なんだか世界全体を狭苦しく感じさせたんですよね。それと「私が父だ」は、映画観る前にどこかでネタバレされちゃってて、映画観ていて全然ショックが無かった、というのもちょっと悲しいですね。嫌いな作品じゃ全然無いんですが、ちょっとこじんまりしてしまったかなあ、という印象でした。


スター・ウォーズ エピソード6 / ジェダイの帰還 (監督:リチャード・マーカンド 1983年アメリカ映画)


満を持しての3作目です。これの公開時には既にEP4、5をレンタルソフトで十分学習し、それまでの不満もなんのその、「SWスゲエよな」と大手を振ってほざいていました。
しかしこのEP6は本当に好きだなあ。冒頭のジャバの宮殿のくだり、あのデカイ怪獣大好きだった!大型サイズ・フィギュアも持ってたよ!イウォーク星でのスピード感満載のチェイスもよかった!モコモコのイウォークは別になんとも思わなかったけど!そして皇帝との対決、ベイダーの最後…もうこうして書いてるだけでも心がときめいてきますよ!!「皇帝って偉そうにしてた割には迫力無いしなんか弱くね?」なんて口が裂けても言えませんよ!あとSWは公開後散々修正されてますが、個人的にはラストはあのイウォーク音頭で〆てくれた方がやっぱりしっくり来ますね!
それにしても、今回こうして文章書こうとして調べて初めて知ったんですが、オレ、今までこのEP6の監督、ずっとルーカスだとばかり思ってたんですよ!で、「やっぱEP5と比べてルーカスが撮ったからお話が締まってるんだよね!」とここで得意げに書きそうになりましたよ…。5万回も観ている筈なのにこれなんだもん…。まだまだフォースへの道は遠いですな…。
「SWが3部作じゃなくて2部作になっちゃった」ということについてちょっと思った事を。まあSWを3部作にしてEP6以降の物語も作って欲しいという気持ちも無いわけではないんですが、あれはあれで完結している物語だし、EP6でメデタシメデタシで終わった物語をもう一回ぶっ壊して、波乱万丈のあれこれにした挙げ句また最後メデタシメデタシにするのは、やぱりちょっと強引なことをしなけりゃならないかもなあという気がしないでもないんですよね。
言うなればEP6以降を作るという事は、それは例えば「指輪物語」の続篇を作れっていうのと同じ事なんではないか、しかしそれはジャンプコミック的な物語のインフレーションを起こさせ結果的に全体的な物語バランスを崩すことになるんではないか、そんなことをルーカスは考え、それよりも現在ある物語の補強を優先させたんではないか、とそういうことをね、思ったわけなんですよ。ルーカスが修正に次ぐ修正を繰り返しているのは、あれはSWというファンタジー世界の補強のためで、そしてファンタジーというのはそのディティールに神が宿る世界であるからこそ、ルーカスはSWという完結したファンタジー世界に神が宿らんべく奮戦しているのではないか(まあ歳だからもう新たなイマジネーションも膨らまないからと言ってしまえばそれまでなんだが)、とそんな風に感じました。


では次回、EP1〜3篇に性懲りも無く続きます。