『十三人の刺客』は大量虐殺映画だった!

十三人の刺客 (監督:三池崇史 2010年日本映画)


昔々、日本のあるところに、女は手篭めにするわ両手両足切り落として慰み物にするわ一族郎党弓矢の的にしてぶっ殺しまくるわ等など、狼藉三昧やりたい放題の基地外藩主がいたんだそうな。基地外だけならいざ知らず、将来的には幕府の中枢たる身分に上がる者とされており、こんな基地外にまつりごと任せたら日本はおしまいだろ!?今の内にこっそり殺っちゃおうよ!とばかりに暗殺団が組織されることになったんですな。集まった13人の刺客は参勤交代で移動中の基地外藩主を亡き者にしようと通過予定の宿場町を買い取り要塞へと作り変えるのです!しかし13人に対する敵の軍勢300人!さあ刺客たちは基地外の首をとることができるのか!?というお話です。
いやーしかし、なにしろこの映画、基地外藩主役の稲垣SMAP吾郎ちゃんがひたすら素晴らしい!!!基地外ちゅうても映画の吾郎ちゃん、ボーッとした無表情の顔してボソボソ狂ったことを呟いているだけで、演技が素晴らしいとかそういうのでは無いし、存在感があるとかまさにこれこそ基地外だと思わせるとかそういうのもないんだけれども、逆にその演技でもなんでもない力みの無さがマイルドな腐臭を漂わせているんだよなあ。ある意味ハイテンションなジョーカーあたりの悪役と正反対な、どこまでも血圧の低そうな悪役っていうのがよかったんだろうな。これがしかしラスト、刺客のオッサンにザックり切捨てられ、「死にたくないよおお」とか演技を始めちゃった瞬間にそれまでの面白みが無くなっちゃうからちょっと残念だったな!やっぱここも演技抜きで、「あれ?あれ?あはははは。あれ?」とか無表情にボソボソ言ってあっけなく死んでくれたほうが絶対よかったのになあ!基地外なら基地外らしく、最後まで徹底して理解不能な気色悪さを演出して欲しかった!
吾郎ちゃん以外では要塞化した宿場町とかもあれこれ仕掛けがあって最初は「おおっ!」と思ったんだけど、でもこれ往来に仕切りの仕掛けして勢力を分断させ、高見の上から弓矢でなぶり殺ししていくまではよかったのに、多勢に無勢だって分かってるのにわざわざ下まで下りて刀で戦おうとするところが白けたな。だってあんだけ爆薬持ってんなら、基地外藩主のいるところに雨あられと爆弾降らせたり油撒いて火の海にしてお終いにすりゃあいい話じゃん。藩主以外の侍倒すのは目的じゃないわけだし、武士道なんか忘れて汚いことしても勝てばいいって最初に言ってたのに、ここだけ刀で勝負したがる理由がよく分かんないんだよな。
だから最初は「どんな仕掛けが作ってあるの?ワクワク!」とか思ってたのに、結局最後は体力勝負、根性勝負でしょう。もっと落とし穴とか飛び出す串刺し槍とかでっかい岩が向こうからゴロゴロとかなんかこうインディ・ジョーンズみたいな嫌らしい仕掛けを一杯作ってそれに巻き込まれた侍たちが阿鼻叫喚の地獄絵図の中で右往左往して血反吐吐き手足もげハラワタ地面に撒き散らしながら絶命してゆくところを13人の刺客が高見の見物と洒落込んで「死ね死ねもっと死ねこんなド外道どもは苦しんで苦しんで苦しみぬいて死ぬがいいわ」とかゲラゲラ笑って眺めていて最後にぶっ殺したことを確認したら13人みんなで肩組みあって夕日の中で「今日はいい仕事したなあウン」とか頷きあって和民とか笑笑とか土間土間あたりの居酒屋チェーンに繰り出して焼酎のお湯割で祝杯上げて13人みんなで一気飲み比べして吐くまで飲んでグデングデンになりながら居酒屋の女給のケツ触ってまたもやギャハギャハ盛り上がって朝を迎える、とか、なんかそういうお話だったらよかったのになあ、と思いました!

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