最近聴いたCD / Chez Damier、Osunlade周辺をちらほらと

■Time Visions 1 / Chez Damier

《試聴》

■Time Visions 2 / Chez Damier

《試聴》

シカゴ出身のシェズ・ダミエことアンソニー・パターソンは、デトロイト・テクノ/シカゴ・ハウスの歴史において、極めて重要な位置を占めるアーティストだ。89年、デトロイトの伝説的クラブにおいて、デリック・メイ/ダリル・ウィン/アルトン・ミラーと共にレジデントDJを務め、シーンの礎を築く。そして93年、ケビン・サンダーソンが主宰するレーベルにおいて、彼の才能が遺憾なく発揮された名作「Can You Feel It」「Never Knew Love」は誕生した。同年には、故郷シカゴへと舞い戻り、盟友ロン・トレントと共にレーベルを設立。ここでも、傑作を続々と世に送り出し、第二次シカゴ・ハウス・ブームを扇動したのである。エレガントなヴォーカルと神がかったメロディが、ダンス・フロアの隅々にまで充満。窒息しそうなくらいにスピリチュアルなオーラを放つサウンドは、耳の肥えたハウス通のあいだで崇拝されている。今のところ、彼がプロデュースした作品にハズレは皆無だ。--新たなるインスピレーションを求めた彼は、97年にパリへ移住。そこで、豊潤なディープ・ソウルに一層磨きをかけている。 goo音楽 / Chez Damier

何年もクラブ・ミュージックを聴いているつもりでも、知らないままだった名アーティストはまだまだ沢山いるものだ。自分が聴くのはCDアルバム主体で、12インチのリリースは手出ししないことにしているのもその理由だろう(収拾がつかなくなると思っているのだ)。このシカゴ・ハウスDJ、Chez Damierもその一人だ。最近耳にした音源「Why」があまりにも素晴らしかったのだが、全く知らないアーティストだった。その後あれこれ調べ、この音源を含むシングル他、Chez Damierがこれまで手掛けたリミックス・トラックなどを音楽配信サイト(Beatport)でD/L、改めてその魅力に触れることができた。やはり少々デトロイトの匂いがする部分が気に入ったのだろう。「Why」はシングル「Time Visions 2」に収められたバージョンが好きだが、その他に購入したシングルでは Chez Damier and Chris Carrier and Jeff k feat. Nouha Matlouniによる「In my system (original_mix)」がまたいい感じ。


■16 Years Of Prescription: Dubplates And Poetry - Volume 1 / V.A.

16 YEARS OF PRESCRIPTION #1 DUBPLATES AND POETRY

16 YEARS OF PRESCRIPTION #1 DUBPLATES AND POETRY

Chez Damier繋がりで見つけたアルバムで、Chez DamierとRon Trentが90年代初頭からの主催していた「Prescription」というレーベルの16周年を記念してリリースされたコンピレーションであるらしい。今まで全くノーチェックだったものを聴いたのだけれど、独特のベースラインと複雑なパーカッションを響かせる実に芳醇なシカゴ・ディープハウスで、非常に新鮮な響きだった。 《試聴》

■Occult Symphonic / Osunlade

OCCULT SYMPHONIC

OCCULT SYMPHONIC

アフリカナイジェリアのヨルバ民族の信仰と音楽をルーツに自身のレーベルYorubaを中心として活躍するOsunladeは鼻にヤマアラシの針を指していることでも有名。宗教にアプローチしたスピリチュアルかつトライバルでソウルフルなサウンドで数々の良質なハウスミュージックをリリースしている。 クラベリア / Osunlade

これもChez Damierが使われているMixを探していたら行き当たったアルバムなのだが、Chez Damier云々とは全く関係なく楽しめるアルバムだった。OsunladeはNYを中心に活動するハウスDJだということだが、どこかで聴いたことがあったような気がするんだがすっかり忘れていたな。このアルバムでは冒頭からダビーな音が延々続いたかと思うとトライバルな展開を見せ、実に味わい深いクラブ・サウンドを堪能することができた。 《試聴》


■House Masters / Osunlade

House Masters: Osunlade

House Masters: Osunlade

Osunladeの『Occult Symphonic』が面白かったので同DJの別アルバムを探してみた。この『House Masters』はOsunladeがこれまでリリースした楽曲と他のアーティストのリミックス曲で構成されたアルバムで、2枚組のボリュームたっぷりに黒くディープなハウス・ミュージックを聴くことが出来る。 《試聴》

■Coming Home / DJ Hell

COMING HOME

COMING HOME

ジャーマン・テクノの草分けであり、NTERNATIONAL DEEJAY GIGOLOSも主催するDJ Hellの最新Mixアルバムは、ノイエ・ドイチェ・ヴェレと呼ばれるジャーマン・ニュー・ウェイヴものを網羅したMixで、いわばDJ Hellのバック・トゥ・ルーツな作品集となっている。かくいう自分も、ニュー・ウェイヴ旋風巻き起こる80年代当時、これらジャーマン・ニュー・ウェイヴをちらほらと耳にしていたので、取り上げられたメンツの懐かしいこと懐かしいこと。KRAFTWERKの「Ohm Sweet Ohm」で始まるMixは、DAF、EINSTURZENDE NEUBAUTEN、DER PLAN、NINA HARGEN、KLAUS NOMIと、かつてニュー・ウェイヴ界を騒がせたユニークな有名アーティストの曲で繋げられ、最後はなんと怪優KLAUS KINSKIのヴォイスで終わるという、まさにジャーマン・ニュー・ウェーブの濃縮スープのようなMixなのだ。音的にはふた昔も前のものゆえ、個々の曲に目新しさはないものの、今までありそうでなかった(いやあったのかもしれないけど)こんなMixを届けてくれるDJ Hell、やっぱシブイっすねえ。 《試聴》

■The Most Incredible Thing / Pet Shop Boys

Most Incredible Thing

Most Incredible Thing

Pet Shop Boysがバレエ舞台のために書き下ろした作品集。最初はストリングス主体のクラシックぽい音なのかなあと思っていたが、これが意外とエレクトリックを使っている上にニールのヴォーカルが入っている曲もあり、もちろんPSBらしいディスコティックなリズムと哀愁に満ちたメロディもそのままで、普通にインスト版PSBとして聴くことができる。もともとPSBってストリングスの入った曲結構作ってたしね。これまで映画音楽、舞台音楽を手掛けたことのあるPSBだが、その多彩さがさらに花開いたと言うことか。 《試聴》