『ハカイジュウ』やら『GANTZ』の31巻やら『テルマエ・ロマエ』の3巻やらを読んでいた

ハカイジュウ (1)〜(3) / 本田 真吾

ハカイジュウ (1) (少年チャンピオン・コミックス)

ハカイジュウ (1) (少年チャンピオン・コミックス)

ハカイジュウ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

ハカイジュウ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

ハカイジュウ 3 (少年チャンピオン・コミックス)

ハカイジュウ 3 (少年チャンピオン・コミックス)

バスケ選手でライバルとの熱い友情に燃えやがったり大好きな彼女にコクるかコクらないかでドキドキしくさったりなどとハイスクルール・ライフをエンジョイしやがっているド腐れさわやかスポーツマンな主人公!しかしそんな彼をある日未曾有の恐怖が襲う!巨大地震のあとに主人公が目にしたのはおびただしい血溜まりの中に転がるかつての旧友たちの切り株死体の山山山!そして暗がりから襲う得体の知れないイヤァ〜〜ンな生物!これはなんだ!?崩れ落ちる校舎の陰から主人公の見たもの、それはいやらしい姿をした(ドスケベって意味じゃないよ)巨大怪獣だったのだ!?そして逃げまどう主人公たちは街がすっぽりと巨大な溝で囲まれ周囲から隔絶されているのを目撃する!果たして彼らの運命は!?
本田真吾のコミック『ハカイジュウ』はこんな具合に謎が謎を呼ぶ設定の中、人食い怪獣に人々が追い詰められてゆくパニックホラーだ。この漫画を紹介してくれた小覇王さんのブログにもあったけど、映像的にはまさしく「ミスト」ミーツ「クローバーフィールド」!昆虫とか爬虫類とかが合わさったような怪獣たちの造形がキモいんだ!血飛沫ドロドロの殺戮シーンがキモチいいんだ!オレ的にはあと楳図かずおの『漂流教室』とか思い出しちゃったし、殺戮シーンは『寄生獣』や『GANTZ』の残虐さを連想しちゃったな!こういったいろんなSF・ホラー・サスペンスをいい具合にミクスチャーして、既視感を感じさせながらも逆にそれがこのテのジャンルのファンには安心して読めるスタンダードなエンターティメント作品として完成させていると思うな!
しかし面白いのがこういった作品が月刊少年チャンピオンの連載から出てきたというところだなあ。だいたい少年チャンピオン・コミックスなんか買ったのなんて数十年振りなんじゃないかな。この月刊少年チャンピオン連載ということからか、筋金入りの鬼畜なホラー・ファンには登場人物が若干ライトに感じてしまう部分があるかもしれないけど、ヤンキー漫画ばっかり載っていそうなこの雑誌から(てか全然読んだこと無いから当てずっぽうに言ってるんだけど)こういう作品が飛び出したことがまず快挙だと思うね。非常にスピーディーでめまぐるしい展開を見せてくれるこの漫画、絵も悪くないし、この先も期待できるんじゃないかな。
◎「ミスト」ミーツ「クローバーフィールド」 ハカイジュウ - 小覇王の徒然はてな別館

GANTZ(31) / 奥浩哉

GANTZ 31 (ヤングジャンプコミックス)

GANTZ 31 (ヤングジャンプコミックス)

GANTZの多分最終章、異星人船団侵略篇の続きです。巨人宇宙人の船団に侵略されあっという間に制圧された地球、捕らえられた人間たちは宇宙船内の工場で食料として屠殺されていきます!やはり捕らえられたケイちゃんを救おうと玄野は宇宙船に侵入しタエちゃんを探しますが、タエちゃんは裸にひん剥かれたまんま巨人異星人のペットとして飼われていた!一緒にペットにされていた少年にレイプされそうになったり巨人宇宙人に大股開きされたりタエちゃんあまりに惨い仕打ちの連続です!しかしこの巨人宇宙人が地獄の鬼で、彼らの住む世界が地獄だと考えると意外とこれまでのGANTSの流れから見ておかしくないんですよね。
一方、他のGANTSメンバーは日本中から仲間を募り、宇宙船への侵入を試みます。ここで登場する新メンバーというのがイヤんなるくらいイケメンと美人ばっかりなんですが、奥浩哉の絵って綺麗だからそういうところあんまり嫌味にならなくていいですね。あといつも通りひねくれたことばかり言っている西がちびっ子に鉄山靠されてのびてるのが笑えました。前巻まではなんだか展開があんまり好きになれなかったんですが、やっと慣れたというかまあこの路線でもいっか、と思えてきましたね。

テルマエ・ロマエ(3) / ヤマザキマリ

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)

大ブレイクしたローマ・日本時空転移お風呂ロマンの新作です。しかしいまだにタイトルがきちんと覚えられません。だからこの漫画のことを言おうとすると「「テルマニロマニ」だか「テルマリロマリ」だかいう風呂漫画」と表現してしまいます。もちろん正確には「テルマエ・ロマエ」ですが、調べればどっかに書いてあるだろうにどういう意味なのか全然分かりません(←バカ)。
そして今回も相変わらず眉間に皺寄せまくって日本のお風呂場にタイムスリップしている主人公が可笑しいです。この漫画のいいところ古代ローマと日本のお風呂事情をきちんと文明比較しているのにお話の展開は実にナンセンスな部分ですね。お風呂だけをテーマにして必ずお決まりの展開を見せるこの漫画、最初は面白いけれどすぐネタギレするんじゃないかと心配でしたが、この3巻を読めばそれも杞憂だったようで、巻頭の第11話から13話はこの作品には珍しく続き物という新展開なんですね(いや、今まであったかもな?)。これがなんと、お風呂施行が上手いばかりに主人公が命を狙われてしまい、しかも山賊に狙われた主人公が彼らを説き伏せ温泉街を作ってしまう、という有り得ない展開で、このなんだか平和な物語運びがお風呂をテーマにしているせいか暢気さを醸し出してるんですよね。
中盤ではお風呂につかる日本の親父とやっぱり眉間に皺を寄せている主人公が一緒に「与作」を合唱するというエピソードが飛び出し、これには大爆笑してしまいました。今回も作者による作品末解説が素晴らしくて、温泉街を指して「日常の緊張感や義務感から開放され伸びたパンツのゴムみたいな精神状態になることだって大切」と言う作者の言葉は頷けました。