れぇえぇえぇ〜〜〜〜〜っどらぁあぁいいいいいいいいいん!!〜アニメ『REDLINE』

■REDLINE (監督:小池健 2010年日本映画)


アニメーション映画『REDLINE』である。遠い未来、様々な惑星の荒地を、スピードカーで順位を競いあうレーサーたちのお話なのである。もともとアニメはそれほど興味は無いのだが、劇場予告編でそのブチ切れ気味のテンションの高さとアメコミを曲解して描かれたとみられる濃ゆい作画のエグさに興味をおぼえ観に行ったのである。アニメ制作は『サマーウォーズ』『マイマイ新子と千年の魔法』『パプリカ』のマッドハウスであるが、洋画好きのオレとしては『アニマトリックス』や『バットマン ゴッサムナイト』の1部のパートを制作した会社というイメージだ。まあ実のところなんでも手がけちゃうアニメ会社なのらしい。原作は『キル・ビル Vol.1』でアニメパートを担当した石井克人、監督は『アニマトリックス ワールド・レコード』も手掛けたがその他の日本のアニメはオレのよく知らない小池健という人。

オープニングのレースシーンはなかなかいい。賑やかなデザインの異星人たちが観衆となるレース場で奇観に満ちた異星の悪路を人類・異星人入り交じったレーサーたちがそれぞれに武器あり特殊加速装置ありのチューンナップされたマシンでレースする様は『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス 』のポッド・レースや『デス・レース』の仁義無きバトル・レースを彷彿させ、アニメならではのキラキラと大仰なエフェクトの掛かったビジュアルは日本のアニメ『マッハGO!GO!GO!』をハリウッド映画化した『スピード・レーサー』を思わせる。冒頭からドッカンドッカンとやかましいテクノ・ミュージックが鳴り響き、濃ゆくエグく描かれたマシンとキャラが疾走する映像はスピード感たっぷり、なにしろ派手でやる気満々。主人公は"鬼盛りリーゼント"のJP。そのリーゼントの"鬼盛り"振りはリアルだとこのぐらい(↓)"鬼盛り"であろう。

で、次のレース大会“REDLINE”が史上最悪の軍事惑星ロボワールドで開催されることが告げられるんだが、ロボワールドはレースを許しておらず、レースを強行するなら軍事行動を行うと宣言。まあ言ってみれば北朝鮮で無理矢理レース大会を開催し北朝鮮軍の攻撃を掻い潜りながら車を走らすようなもんだな!しかしこっからがなんだかグダグダになってくる。もう一人のレース参加者である女子、ソノシーとJPとのラブロマンスが描かれだすのである。こっちはブチ切れまくりのクレイジー・ハイテンション・スピード・アニメを期待して観に行ったのに突然アハハウフフとベタベタな展開でずっこけるんである。クライマックスなんかJPのマシンに乗せてもらって「私の夢をかなえて」ってなんなんだよいったい。だいたいお前らお互い勝負師ならもっとクールで毅然としろよ。カッコワリイよなー。

それとJPに毎回八百長をさせているメカニックのフリスビーというのが出てくるんだが、毎回同じパターンで八百長って、普通気付かれるだろうがよ。他の異星人のレーサーも登場人物たちも、性格も行動も奇矯過ぎて全然感情移入できない。さらに軍事惑星ロボワールドにレーサーとマシンを潜入させるため、「宇宙の魔法少女」なるものが出てきて時空も地殻もいじくっちゃうんだが、そんだけ力あんならロボワールドのレーサーへの攻撃自体防げんだろ。それ以前にロボワールド軍隊弱すぎ。あとなんで巨神兵モドキが出てきて『AKIRA』のソルみたいのに攻撃された挙句グエムルみたいな化け物(というか『WXIII 機動警察パトレイバー』の廃棄物13号)と戦ってるんだよ。ロボ変形する車ってなんなんだよ。なんでもありかよ。そして誰も死なない。そもそも主人公も優男なだけでどうもピリッとしたとこないしなあ。結局テンション高いっちゃあ高いんだが、ずっと一本調子でメリハリに欠けるから途中飽きてくるんだよなあ。そういった訳で、ちょっと残念な完成度のアニメだったなあ。

■REDLINE 予告編