グダグダの週末より愛を込めて〜映画『パリより愛を込めて』

■パリより愛を込めて (監督:ピエール・モレル 2010年フランス映画)


その日の週末も例によってピザ食ってビール飲んでダラダラと映画なんぞを観ようと心に決めていたオレである。いや、別に心に決めなくともオレにとっての週末というのは自動的にそうなるしきたりなのである。いってみればこれはある種の宗教的な行事でありこの汚れた現世で1週間過ごすことにより爛れきり疲弊しきった心を慰め清めるための神聖な行為なのである。そしてビールとピザと映画という三種の神器を心と体に注入することにより限りなくユルくヌルくポワワンワンでグダグダグズグズのゲル状物質となって過ごすことを至高の喜びとしているのである。

そういうわけでこの日選んだ映画、それは『パリより愛を込めて』であった。駅前のひなびたレンタルショップをのぞいたら新作であるこの映画のDVDとBDが並んでいたのでBDをすかさずGET、ホクホク顔でアパートへの帰路についたオレであった。なぜならこの『パリより愛を込めて』、監督はピエール・モレルさんというのだがこのピエールさんさんが監督した『96時間』という映画を以前観たのだがこれが滅法面白く、今回もやってくれるかと期待していたのだ。劇場公開時あまり評判が良くなかった、という不安要素もあったが、まあ週末グダグダダラダラ観るのなら問題ないだろうと踏んでいた。

さてピザも届きビールの缶も開け映画のほうを見始めたわけだ。主人公はフランス駐在のアメリカ大使館員で、こっそり見習いCIA捜査官もやっているらしい。その彼が映画で最初にやるミッションというのが盗聴器の取り付け、しかしこれを食っていたガムで貼りつけようとしてなかなか上手くいかない。…この段階でオレは早くもうんざりですよ。盗聴器ガムで貼り付ける諜報部員なんてどこにいるんだよ。いや、もしいたとしてもオレには知りようもないがな!要するに笑えねーんだよ!で、お次にアメリカからやってきたCIA捜査官をお出迎えです。これがジョン・トラボルタで、やっとなんとかなるかと期待を膨らませます。しかしこのトラボルタ演じる捜査官、スキンヘッドでバイカーファッション、なんかあまりにもマンガチックすぎねえか…。それとも単にフランス人監督がアメリカ人を虚仮にしているだけなのかな?

トラボルタ捜査官は空港の税関で一悶着起こしていたんだが、それは缶ジュースに仕込んだ分解拳銃をこっそり持ち込みたかったかららしいんだな。…いやでもさあ別に普通に現地調達すりゃあいいじゃん…それもわざわざ何個もの缶に仕込んでさ…この細かい工作する労力を別のところに向けるべきなんじゃないのか…。そんなことを考えている暇もあらばこそ、今度は中華料理屋でいきなり銃をぶっぱなして店員皆殺しです!実はドラッグ密売組織のアジトだったってことなんだけど、これ捜査じゃないじゃん!考えるより先に手が出るどころか考えるより先に皆殺しかよ!

この後もトラボルタ兄さん、ワルモンの所に押しかけていってはとりあえず皆殺しにしまくり、その暴れん坊ぶりを発揮します!とまあこんな感じでクルクルパーなアメリカ人を演じるトラボルタのアホアホ振りに目を奪わせてシナリオのグダグダさに気付かれないようにしようという巧妙な罠が隠された映画ですが、結局縦から観ても横から観てもグダグダな映画だっていうのはバレバレでしたな!しかしいくらグダグダしたくて観た映画とはいえ、これほどまでとは恐れ入谷の鬼子母神でしたよ!とか言いつつこのエントリの文章自体グダグダといばグダグダですな…。

■パリより愛を込めて 予告編


パリより愛をこめて Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

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