映画『サロゲート』はサロペットでもコルゲートでもなかった…ッ!?

サロゲート (監督:ジョナサン・モストウ 2009年アメリカ映画)


この映画『サロゲート』、SF映画なんですけどね、近未来のお話で、その未来では人間は自宅で寝っ転がって「サロゲート」と呼ばれるロボットを遠隔操作して社会生活させているんですね。いうなればヴァーチャルリアリティの裏っ返しみたいなもんで、サイバースペースで仮想の生活をするっていうのがヴァーチャルなんちゃらだとしたら、『サロゲート』ではサイバネティクスな肉体を通して現実の世界で生活するということが行われているという訳です。

しかしまあなんでわざわざそんなことすんの?という疑問が出ますよねえ。映画では代理ロボット・サロゲートで生活させとけば事故とか犯罪があっても実際の肉体が傷つく事がないから安全!とか言ってますけど、ロボットとオンラインになってるときはずっと寝っ転がってるわけでしょ。これって逆に健康に悪くねーかー?と思うわけですよ。あと普通に考えてイニシャルコストもランニングコストも相当高くつきそうですよねえ。だからお金持ちだけがサロゲートを使ってるっていうお話ならまだ分かるけど、一般人が猫も杓子もみんな使ってるんですよ。

サロゲートを使えば理想の肉体や容姿で生活でるし、身体能力もUPしますから、メリットも無いこともないんですが、だからって高いお金出してみんながみんな飛びつくもんかよ、って思っちゃうんですね。実はこのサロゲートは結構格安だったりしてね!ゲーム機ぐらいの値段だったりして。ただ、どちらにしろ、イビツな感じのする社会だっていう気はしますよね。これだったらまだインプラントナノマシン使って肉体改造するのが一般的な未来社会、っていうほうがテクノロジー的にスマートだし理解しやすいもの。そんなもんですから、この設定がなんだか納得出来なくて、劇場公開時にはパスしたんですよねこの映画。

しかしレンタルで出てたんで観てみると、なんとこれが意外と面白いんですよ。設定はもちろんイビツでありえない感じはありますが、逆にこのイビツでありえない未来社会っていうのが妙に面白かったんですよ。P・K・ディックが描く異様な未来社会に通じるものがあったんですよね。要するに変なの。この"変さ"っていうのは例えば登場人物がツルツルした顔の美男美女しか出てこない、というのがありますね。みんな理想の容姿のサロゲート使ってるからそうなっちゃうんですね。これがなんだか気持ち悪くて、それが面白いんですね。そしてサロゲートを遠隔操作するリアルな人間も出てきますが、これが美男美女のサロゲートと比べるとホント、ショボショボの容姿で、この落差がまた妙で、なんだか可笑しいのね。特にお話の内容は触れなかったけど、そういった部分で、ちょっとツボにハマったお話でありましたよ。

サロゲート 予告編


サロゲート/ブルーレイ(本編DVD付) [Blu-ray]

サロゲート/ブルーレイ(本編DVD付) [Blu-ray]