最近読んだコミックなどなど

■チャンネルはそのまま!(2) / 佐々木倫子

チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル)

チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル)

考えてみると佐々木倫子のマンガって『動物のお医者さん』にしても『おたんこナース』にしても『Heaven?』にしても"職業マンガ"なんですね。詳細にリサーチされたそれぞれの職業の内情はとてもリアリティがありますが、しかしそれを佐々木倫子描く独特のほんにゃらキャラが強引にねじ伏せて、ありがちなドキュメンタリー・リポートにしていないところがこの人の作品の面白みだと思います。
この『チャンネルはそのまま!』はTV局を舞台にした作品なんですが、舞台が北海道ローカル局ということで、関東大手のTV局だったら生々しい熾烈なビジネス競争を展開しているであろう部分をうまく外していますね。ただもともとオレがあんまりTV観ないのと、このご時世にメディア不況やネットの存在をあまり意識していない描かれ方をしているTV局ってやっぱりちょっと呑気すぎないかなあという気がして、これまでの作品と比べたらちょびっとノレないところがあるんだよなあ。

水木しげる遠野物語 / 水木しげる

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

柳田國男が編纂した民間伝承集『遠野物語』をゲッゲッゲゲゲのゲーの水木しげるが漫画化したものである。「遠野物語」発刊100周年を記念して行われている事業の一環なのらしい。
"遠野"とは「トー」、即ち「湖」を指すアイヌ語に由来しているという。盆地である遠野が太古、湖だと信じられていたかららしい。北海道のみならず東北にはアイヌ語由来の地名が多数存在していることからもわかるように、古代、東北には"蝦夷"と呼ばれる人々が居住していた。この「遠野物語」で描かれる妖しく不思議な物語の数々にも、彼ら"まつろわぬ民"の姿がうっすらと透けて見え、当時遠野に住んでいた人々が、彼らの存在、または伝説にどのような恐れと畏敬の念を抱いて接していたのかを窺い知ることができる。
岩手県遠野は決して遠い場所ではないが、遥かな時空の距離感にふと遠い気持ちなる作品だった。なんだか遠野に行ってみたくなったな。

■ジャバウォッキー(7) / 久正人

ジャバウォッキー(7) <完> (マガジンZKC)

ジャバウォッキー(7) <完> (マガジンZKC)

知能を持ち2足歩行で歩き、古代より密かに歴史の影で生き永らえてきた恐竜人類たち。彼らは地上の覇権を取り戻すため人類に戦いを挑むが、それを阻止しようとする恐竜人類もまた存在した。歴史上の人物・事件を巧みに織り込みながら、マイク・ミニョーラを思わせるポップでソリッドな描線で描いた伝奇アクション、それが『ジャバウォッキー』である。この第7巻は一応の終章となるようで、とりあえず大団円を迎えるが、この実にユニークなグラフィックを観られなくなるのはちょっと寂しいなあ。久正人氏の再登場を首を長くして待ってます。