『アドレナリン:ハイ・ボルテージ』はバイオレンスとナンセンスが錯綜するお下劣壮絶おバカ映画だった!?

アドレナリン:ハイ・ボルテージ (監督:ネヴェルダイン/テイラー 2009年アメリカ映画)


前作『アドレナリン』のラスト、ヘリコプターから落下して死んだはずのアイツが何故だか蘇ったッ!?主人公シェブ・チェリオス(ジェイソン・ステイサム)はその強靭な肉体に目をつけられ、マフィアの首領のボディ・パーツにされる為延命措置を受けていたのだ!そして目を覚ましたチェリオスは自分の心臓が既に人工心臓に取り替えられえていたことを知る!「ザけんなタコ!オレの心臓返しやがれこのクソ!」マフィアの施設から逃走し自分の心臓を探す主人公チェリオス!しかーし!人工心臓は充電し続けなければ停止してしまう!「だったら身体に電気浴びりゃあいいじゃねえか!」そしてチェリオスはシガレット電源プラグ、ブースターケーブル、スタンガン、高圧電流、ありとあらゆる電気をその身に浴びながら心臓を奪ったマフィアを追い詰めていくのだがッ!?

アドレナリン:ハイ・ボルテージ』、いやもう爽快なぐらいに最低バカ映画でありました!だいたいビルよりも高い所から落ちてなんで生きてるんだよッ!?普通全身グチャグチャ御煎餅状態の筈だろうがよッ!?で、皮膚から充電できる人工心臓ってなんなんだよッ!?充電できたって体焼けちまうだろうがよッ!?ってか最後はさすが焼けてたけどなッ!しかし「静電気もOK」ってなんでもアリ過ぎだよッ!?それでその辺の兄ちゃんとか婆さんに体こすり付けてるんじゃねーよッ!?挙句の果てに「摩擦といえばセックスだよな!」とか言って公衆の面前でセックスしてんじゃねーよ!まあ前作でも「アドレナリンと言えばセックスだよな!」なんてことで街の真ん中でセックスぶっこいてたけどな!それはいいとしても(全然よくないんだが)なんで途中で巨大化して変電所なぎ倒しながら戦っちゃってるんだよ!?もう訳わかんねーんだよッ!ホントもうこんなメチャクチャな映画観たことねーやッ!ぐわっはっはっはっ!!

という訳でオレの中の「最低バカ映画史」の殿堂に入ること間違いなしの大傑作、『アドレナリン:ハイ・ボルテージ』である。主人公チェリオスは会話なんかしない。とりあえず相手に飛びかかり蹴り上げぶん殴り言う事を聞かすのである。単なるケダモノ、狂犬、キチガイである。そして合間合間に電池が切れてヘニョヘニョになり、その度に電気に手を突っ込んで火花バチバチいわせながら復活するのだ。なんなんだよこれ。出てくる他の連中も五十歩百歩でイッちゃってるキャラばかり。パッパラパーの恋人イブ、インチキ臭い闇医師マイルズ、チック持ちの仲間ヴィーナス、訳のわかんない売春婦(しかもこいつも車にはねられて怪我一つしない)リア、カッコばかりつけてる敵役のエル・ウロン、そしてデビッド・キャラダイン演じるマフィアのスケベ首領プーン・ドンなど、はっきり言って誰ひとりまともじゃない。ちなみにこのクソバカタコ映画、デビッド・キャラダインの遺作でもある。う〜むいろんな意味で壮絶だよなあ…。

こんな連中が常にブチ切れ気味に追いかけ追いかけられ、わめき叫び怒号を上げ、ぶん殴りあいぶっ殺しあい、これらバイオレンスとナンセンスに満ち満ちたお話は、ラストのメチャクチャな格闘&銃撃戦へと怒涛のようになだれ込むのだ。ビデオ撮影のザラザラした安っぽい映像と下手なロックPVみたいなせわしない編集は、この映画の漫画みたいなおバカさをさらに盛り上げる。さらにその中に入れる必要も無かったような悪趣味なスプラッタシーンや、やりすぎズッコケすぎのお下品極まるネタも投入、全てが過剰で馬鹿馬鹿しい、文字通りハイスピード・ハイテンション、ハイリスク・ハイリターン(?)な壮烈なバカ映画として完成しているのだ。ああなんて下らない映画だ!そしてオレはこんな映画が大好きだ!

アドレナリン:ハイ・ボルテージ 予告編


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