DVDダラ観日記〜『バンク・ジョブ』『フェイクシティ ある男のルール』

バンク・ジョブ (監督:ロジャー・ドナルドソン 2008年イギリス映画)

バンク・ジョブ デラックス版 [DVD]

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これは映画館で観なかったのが悔やまれるぐらいに面白かった。食いつめ者の連中が貸金庫に押し入るが、手にしたのは現金宝石だけではなく、マフィアが汚職警官に渡した賄賂の帳簿、麻薬ディーラーがユスリの為に撮った王室や政府高官のスキャンダル写真など、アブナ過ぎるブツも含まれていた!銀行強盗団を追う警察、マフィア、政府諜報組織、そして政府高官や汚職警官までも巻き込んで、泥沼の追跡劇が始まる!という物語なんだが、これ、1971年ロンドンで実際に起こった事件なのらしい。公に出来ないホントにヤヴァイことがあったのか、その後国家機密扱いになってしまった事件で、映画ではそこに脚色を織り交ぜて物語を語っている。
なにしろ基本的に悪党しか出てこないというお話が面白い。こういった物語では悪党同士の虚々実々の駆け引きや騙し合いが描かれ、案外血腥くて後味の悪い物語になってしまうんだが、この映画では主人公である銀行強盗犯たちにイギリス映画らしい泥臭い生活感があり感情移入しやすいのと、そしてなんといっても主役のジェイソン・ステイサムのいつものむさ苦しい顔がカッコよくて、小悪党対大悪党の戦いの小悪党側をついつい応援したくなるのだ。追い詰められた銀行強盗犯たちが最期に逆襲に転じ、大悪党らを潰し合いさせるクライマックスも鮮やかで小気味いい。良作です。

■フェイクシティ ある男のルール (監督:デヴィッド・エアー 2008年アメリカ映画)

正義の為には手段を選ばないダーティー刑事が、ある殺人事件を追う内に巨大な陰謀に巻き込まれてゆく…というクライム・アクション。まあこの手の物語は巨悪の根源が誰なのか、なんとなく予想が付いちゃうのがちと難点かな。あと正義に燃えるあまり荒っぽいことしちゃう刑事、というのも少々時代がかってるような気もする。それに今更組織は腐りきってるッ!とか言われてもそんなもんじゃない?とか思っちゃうし。
昔からこういった刑事物語ってサラリーマン・ストーリーの変形だと思ってるんですよ。犯罪を追う刑事、というのは観る者のそれぞれの、自らの職務への義務感や責任感や熱意なんかの表れで、そして犯罪や事件というのは自分が直面する困難な(またはいつもの)職務、ということなんじゃないのかな。で、事件解決が困難に満ちているほど、それを解決する為の努力や解決する達成感は大きいわけですから、そんなところに観ている人は自分の仕事というものを重ね合わせてカタルシスを覚えるんじゃないのかな、と。だからとことん正義を追う熱血警官好きの人も仕事では熱血なんだろうなあとか思っちゃいますが、オレは基本インチキなので熱血見てもあんまりピンとこないというか。でも『ザ・バンク』は面白かったが、あれは仕事、というよりシステムそのものと戦っているのがオレには面白かったのかも。