あの人に

ミラクルとも呼ぶべき才能には賞賛を惜しまないがむしろその強固な現実否定の在り方に痛々しさを感じていた。「ネバーランド=ここではない何処か」はきっとここよりずっと素晴らしい場所だったに違いない、しかし現実というものはどんなにそこから逃げ出し遠ざかっているつもりでも必ず最期に眼前に現れしっぺ返しを用意する残酷なものなのだ。そんな現実に追いつかれてしまった彼に哀れを感じて仕方ない。君はどこまでもあの輝ける天の高みへと上って行ける人だったのに。