最近聴いたCD・レゲエ篇/「ダブはいいねえ。ダブは心を潤してくれる。ジャマイカンの生み出した文化の極みだよ。」

■Every Mouth Must Be Fed

Micron Music Presents: Every Mouth Must Be Fed

Micron Music Presents: Every Mouth Must Be Fed

キングストンのリタイアメント・ロードを拠点とし、数えきれないほどのプロデューサーやアーティストに大きな影響を与えてきたMicron Records。他のレーベルに比べれば認知度は低いかもしれないが、良質のコンピレーションには必ずと言っていいほどMicron Recordsの曲が1つか2つは収録されている。本作『Micron Music Presents : Every Mouth Must Be Fed』はMicron Recordsが残した功績を集約し、一つ一つの楽曲を大切にするのと同時に、Micron Recordsを重要なレーベルとしてきちっとフォーカスしている。
http://diskunion.net/latin/ct/detail/REGGAE-3724

セッションの醍醐味というのは、例えばジャズであるとすると演奏中のインプロビゼーションのせめぎあいとそこから生まれる緊張感であったりするが、これがダブ・ミュージックだと、録音された音源とリミキサーとの真剣勝負から生まれるものだということが出来るだろう。そういった意味ではダブとは完成された曲というよりも、セッションの賜物であり、一つの音源がリミキサーの手腕によりダブというフォーマットの中でどのように変化し生まれ変わってゆくかを楽しむジャンルであると思う。
この『Every Mouth Must Be Fed』はジャマイカのレゲエ・レーベル、Micron Recordsのレア音源を集めたコンピレーションだが、オレが今年聴いたダブ系の音源として最強の出来を誇るCDなのではないかと思う。なにしろリズム・ギターやハイハットのエッジの効きまくったソリッドな音が凄まじい。ヘッドホンで音量低めで聴いていても高音ばかりキッ!キッ!と漏れ出て、電車では肩身の狭い思いをしているぐらいだ。
1曲目はJah Stitch『Conference At Waterhouse』の暗く憂いのこもったヴォーカルで始まるけれども、3曲目Junior Byles『Lorna Banana』は桃源郷に降りる朝露のようなクールで夢幻的なレゲエ・ビートを聴かせてくれる。このアルバムの中でも聴き応えのある1曲だろう。『Straight To Scratch Head』はそのダブ・バージョンだが、これもまた素晴らしい。その後も研ぎ澄まされた鋭利な刃物同士が打ち鳴らされているかのようなどこまでも硬質な響きを持つ曲が続き、聴くほどに覚醒してゆく感覚に酔い痴ることが出来るのだ。

■Teach The Youths:Barrington Levy & Friends At Joe Gibbs 1980-85

Teach the Youth 1980-85

Teach the Youth 1980-85

全て80年〜85年にJoe Gibbsでレコーディングされた音源でプロデュースはもちろんJoe Gibbs、バックはプロフェッショナルズ、エンジニアはエロール・トンプソンという黄金チーム。特に要チェックなのは1曲目〜4曲目までDJがフューチャリングされた12" Original Disco Mixが収録されている点!!しかも9曲目〜12曲目はダブ・ミックスです。これは見逃せない一枚です!!
http://diskunion.net/movie/ct/detail/REGGAE-3722

前回に引き続きまたもジョー・ギブスもの、今回はダンスホール・アーチスト、バーリントン・リーヴィーのコンピレーション。レゲエ・ヒットを数多く持つ彼の伸びやかなヴォーカルにDjのトースティングと絶妙なダブが絡む。これも良盤です。

■African Dub All-Mighty Chapter 1 & 2 / JOE GIBBS & THE PROFESSIONALS

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ダブ名盤、アフリカンダブ・シリーズの第1弾。再発。レゲエジャンル以外のリスナーさんにも良く知られたシリーズで、シリーズ4作共にダブマニアは必聴!レゲエジャンル以外のリスナーさんには3,4作目が人気ですが、実際にジョー・ギブスとエロル・トンプソンが気合を入れて作ったのはこの1作目と2作目だそうです。元々はトレジャーアイルからの”Treasure Isle Dub”をお手本に作られた作品であり、”Unchained””BaBa Boom”などスタジオ1、トレジャーアイル辺りの名ロックステディリディムのリメイクが多く馴染み易い作品です。
http://www.cisco-records.co.jp/html/item/002/026/item153932.html

ジョー・ギブスのダブものであり、ダブの名盤としても名高い作品。「Chapter 3 & 4」は結構前に入手していたが、この「1 & 2」はつい最近の購入。どれもそうだがジョー・ギブスものは本当に親しみやすい音が多く、このアルバムでも軽快でよく乾いた絶妙のダブ・サウンドを聴かせてくれる。ダブの素晴らしさに触れたいのであれば外すことの出来ないアルバムだろう。

■African Dub All-Mighty Chapter 3 & 4 / JOE GIBBS & THE PROFESSIONALS

African Dub Almighty 3 & 4

African Dub Almighty 3 & 4

ダブ名盤、アフリカンダブ・シリーズの第4弾。再発。レゲエジャンル以外のリスナーさんにも良く知られたシリーズで、シリーズ4作共にダブマニアは必聴!レゲエジャンル以外のリスナーさんにも人気。元々はトレジャーアイルからの”Treasure Isle Dub”をお手本に作られた1,2作目が大ヒットした事がきっかけで作られた続編。基本的にはスタジオ1、トレジャーアイル辺りの名リディムをベースにした作りですが、勢いで作ったため面白半分なノリが逆に深めのエフェクト処理や面白い効果音と言った形になった作品。
http://www.cisco-records.co.jp/html/item/002/026/item153935.html

2006年の日記で一度紹介したのだが、「1 & 2」購入記念ということでもう一度紹介。ボヨヨ〜ンとかピヨヨ〜ンとか愉快な音が満載だが、同時に短剣みたいにソリッドで切れ味のいい高音、のっしのっしと歩く巨獣の足音みたいな重い低音もバランスよく兼ね備えた実に完成度の高い良質のダブ・アルバム。これも必携盤ということができるだろう。

■Joker Smoker / Triston Palma

Joker Smoker

Joker Smoker

まだデビューしたてのTriston Palmaに、全盛期のRoots Radics、プロデューサーはJah Thomas・・・82年、ルーツ・レゲエとオリジナル・ダンスホールの狭間に生まれたGreensleevesの大名盤が初のオフィシャル・リイシュー!!!
http://diskunion.net/movie/ct/detail/REGGAE-3574

ルーツ・レゲエもの。ワン・ドロップのゆったりと重いサウンドに伸びのあるレゲエ・ヴォーカル、親しみのあるメロディ、そして時に陶然とさせられるダブ・ミキシング。実に完成度の高いレゲエ・アルバムとして聴き応えのある一枚。