ひとみしり道 / べつやくれい

ひとみしり道

ひとみしり道

イラストレーターのべつやくれいさんによる、ひとみしりを極めた(?)自らの半生を、イラストと文章で綴った一冊。しかし読めば読むほど、実はひとみしりであるこのオレ様にも思い当たることが多々あり、頷けるやら可笑しいやら。そう、日頃コワモテで声も態度もでかく、人様など頭から齧ったって怖くもなんとも無いように振舞っているオレではあるが、その本性は限りなくひとみしりなのである。
正確に言うならオレの場合、ひとみしりというよりは小心者であり、もともと社交性に乏しいところに加えて、世の中のことにあまり興味がないから他人と接点が持てず、そのせいで気の効いた世間話がまるで出来ない、という部分が大きいだろう。あと、見栄っ張りというのもあるな。馬鹿なことを平気で言ったりやったりは出来るが、それは自分でそういうキャラを演じている時だけであり、素の時は格好悪いとか恥ずかしいとか思っちゃったことはなかなか出来ないものなのである。こう見えても恥ずかしがりやさんなのである。
しかし会社的にもそこそこの位置にあり、年齢もいい具合にいっちゃってるし、なによりこんな男社会の中でモジモジばかりしているとケツの毛まで毟られるから、ひとみしりだなんだと可愛らしい言い訳しているわけにはいかないのである。時々現れるオレの極端なキャラは、そういった部分で生きていかなくちゃならないが為に、パワードスーツを身に付けるが如くまとったキャラではある。しかしこのスーツは重い上にやっつけ仕事で作った装置である為時々暴走してとんでもない事になったりするんである。そして無理しているのも確かであり、また、そういうことなど一つも気にせずに生きられる人たちよりは、やはりどこかで負けているような気もしているのである。
ああなんだか書いていて悲しくなってきたぞ、くそ。話を「ひとみしり道」に戻そう。べつやくさんはあとがきで「ひとみしりは決してネガティブなものではなく、慎重さの表れだと思うことにしよう」と述べられているが、これはタイプにも寄ると思うので、ひとみしり=慎重とは一概に言えないものであろう。オレなんかは自意識過剰なせいだったと思うからな。ただどちらにしろ、明るく社交的でないからといって、それが全てマイナスなものだと受け取らなくてもいいんだ、と自分を納得させることは案外大切かもな。誰もがみんな一緒の性格である必要も無いんだし。