ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝 (監督 : ロブ・コーエン 2008年アメリカ映画)

■3作目なんだ!

2001年公開の前作『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』から7年ぶり、『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』の登場だ!前作から随分間が空いたからもう続編は無いのかな?無くてもいいけど!などと思っていたらしぶとくシリーズは生き残っていたんだ!

これまでも『インディ・ジョーンズ』の柳の下企画としてB級路線直球ど真ん中を邁進していたハムナプトラ・シリーズだったが、古代エジプトの幻想怪奇で胡散臭いエキゾチズムをモチーフにした物語は結構好きだったな。ただどうしてもCGI頼りのアトラクション・ムービーなんでお話は空っぽだったがな!というわけで久々のこの『3』、どんな映画に仕上がってるかな?

■呪われた皇帝なんだ!

まずお話の発端は古代中国まで遡るんだね。秦の始皇帝をモデルにした”皇帝”と呼ばれる暴君が人民なぶり殺しにしたり万里の長城築いたりしていたんだね!そして中国全土を支配した皇帝は今度は不老不死の術に手を出すんだけど、イヤなおっさんだったから裏切りにあって術は失敗、数千の兵と共に土偶にされて地中に埋められちゃうだ!

これは《秦始皇帝陵》の《兵馬俑》として実際に存在しているものをモチーフにしているんだね。現実には《秦始皇帝陵》の発見時期や万里の長城の完成時期や始皇帝の死因などは史実では無いけれど、これらを上手く繋げてスペクタクルにしたアイディアはなかなかじゃないかな。特にクライマックス、甦った兵馬俑の兵と万里の長城に生き埋めにされた骸骨たちとの大規模な戦闘は実に派手に出来上がっていて、これこそハムナプトラ!って感じだったな!

なにしろ今回もCGIが頑張りまくりだ!しかし頑張りすぎてやりすぎ感も漂っていたがな!皇帝はキングギドラに変身しちゃうし、ウルトラ怪獣ウーの小型版は出てくるし、土偶状態の皇帝も見ようによっては大魔神チックであった!これはあれか、東宝怪獣と円谷怪獣と大映怪獣の夢の共演ということなのか!?あとは日活のガッパと松竹のギララが出てくれば完璧だ!ってそんなお話じゃない!

■ドラマはグダグダなんだ!

しかし人間ドラマはやっぱりグダグダだ!ハムナプトラ2事件以来退屈な毎日を送るリック(ブレンダン・フレイザー)とエブリン(マリア・ベロ)のオコーネル夫婦の描写は観ているこっちまで退屈にさせられ、彼らの息子アレックス(ルーク・フォード)との家族ドラマは全く面白みに欠け、その息子と絡む謎の女リン(イザベラ・リョン)との恋の駆け引きも付け足し程度の語り口だ!

さらにエブリンの兄でキャバレーを経営しているジョナサン(ジョン・ハナ)はあまりに老け過ぎていて、アクションさせるのが痛々しいぐらいだった!このジョン・ハナ、次回作まで生きているのかどうかも謎だぞ!?ブレンダン・フレイザーはもともとボンクラ顔だし、オコーネル陣営の役者は全体的に華の無い配役だったなー。

逆に皇帝役のジェット・リーや彼に謀反を起こす巫女ツイ・ユアン役のミシェル・ヨーは実に貫禄があったが、ジェット・リーは呪いをかけられたCGIでの登場が殆どだったから、もっと生で見たかったって感じかな。謎の女リン役のイザベラ・リョンたんはなかなかの美人ちゃんで、とっても目の保養になったオレだ!

と言う訳で結局今回も胡散臭いエキゾチズム・取り合えず派手なCGI・B級直球ど真ん中・グダグダの人物描写、といったある意味ハムナプトラらしい出来に仕上がっていたのだった!それが功を奏しているかどうかは別だがな!ラストでは次回は南米が舞台であるようなことを匂わせていたが、うーん、これって益々インディー・ジョーンズの後追いになっちゃうような気がしないでもないが、ハムナプトラは基本バッタもんだからまあいいか!?