「俺たちダンクシューター」公開記念!アホアホ・コメディ映画10連発!その1・「タラデガ・ナイト〜オーバルの狼〜」「ロクスベリー・ナイト・フィーバー」

■タラデガ・ナイト〜オーバルの狼〜 (監督:アダム・マッカイ 2006年アメリカ映画)

今回紹介するのはウィル・フェレル、2006年の未公開作「タラデガ・ナイト〜オーバルの狼〜」。しかしこれ、未公開作とは言いながら、2006年全米興行収入ランキング10位・約175億円のヒットを飛ばしているという作品なのである。ただ、アメリカのコメディはいかに御当地で大ヒットしたからと言っても決して日本人が観て面白いものとは限らない。で、観た感想はというと、前半グダグダ、後半で巻き返したといった感じか。カーレースがテーマだけに、ラストスパートに賭けたという訳か!?
物語は連戦連勝でウハウハのカーレーサー、リッキー(ウィル・フェレル)が、レース中大事故を起こし、地位も名誉も財産も失い、友人にセクシー女房まで寝取られ、どん底の生活にまで追いやられるが…、果たしてリッキーに復活のチャンスはあるのか!?といった内容。例によってウィル・フェレルは暑苦しくひたすら下品なアホアホ男役で、前半はその大雑把なギャグのダダ漏れ振りに胸焼けしたが、後半家族の支えを得て少しずつ再起へと向かい始める部分から面白くなり始めた。やはりいかにベタでもドラマというものは必要なんだってことなんだろうな。
クライマックスはこれがアホアホ映画か!?と思わせる金の掛かった迫真のレースシーン(でもオバカ)で度肝を抜き、そしてラストは、全てのものがあまりに綺麗に丸く収まってしまう、という都合の良すぎるハッピーエンドを迎えるが、逆に、いかに嘘くさかろうと、みんながみんな幸せになるというラストを可能にするのは、アホアホ映画だからこそなのかな、とさえ思った。
あと、なにしろ注目は「ボラット」でインチキ・カザフスタン国営放送レポーターを演じていたサシャ・バロン・コーエンが、ホモホモなフランス人レーサー役で出演していることだろう。ホモ差別ネタはちょっといただけなかったが、サシャ・バロン・コーエン、実は結構いい男なのだ。

■ロクスベリー・ナイト・フィーバー (監督:ジョン・フォーテンベリー 1998年アメリカ映画)

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スティーブ(ウィル・フェレル)とダグ(クリス・カッテン)のブタビ兄弟は大のクラブ好きだが、アホアホの上にダサダサで、どこに行っても失笑冷笑嘲笑の生暖かい扱いを受けていた。そんなしょーもない二人の夢はいつかカッコイイイクラブを経営することなのだが、あまりにクルクルパーの二人には難問だらけで…というお話。最近のウィル・フェレル映画のタイトルをもじるなら「俺たちディスコ・ブラザース!」ってな感じか。
なにしろスティーブとダグのブタビ兄弟が巻き起こす、頓珍漢なおマヌケ振りがとっても楽しい映画に仕上がっている。いつもピカピカ・スケスケ・ピタピタの、オシャレなんだがダサいんだかよくわかんない洋服に身を包み、言動も行動も情け無く、頭の中身もちょっと足りないという、実にマイルドかつ香ばしいキャラなんだが、結局この二人、成りばかり大きくなった子供なんだよな。しかも兄弟して童貞クンという設定だ!途中で爆笑モノの初体験を迎えるがな!一応兄弟愛の物語が語られるのだけれど、兄弟同士ラブラブ過ぎるのも気色悪くて笑いを誘う。
とはいえ、この映画でのクネクネ主人公は、ウィル・フェレルがよく演じる、我が強くて暑苦しくてギラギラした、いやったらしいキャラよりかは数段可愛げがあるのだ。アホなのは一緒だが。ディスコ・ミュージックが流れると脊髄反射でノリ始め、弟と二人ユニゾンでカックンカックン首振る姿もまた微笑ましい。そしてバカだろうがダサかろうが、兎に角音楽をとっても愛しているという生き方に親近感を覚えるのだ。まあオレもアホだしな!ウィル・フェレル映画では評判はイマイチのようだが、オレは逆に安心して観られた一作だったな。