アイ・アム・レジェンド (監督:フランシス・ローレンス 2007年アメリカ映画)

アイ・アム・レジェンド 特別版(2枚組) [DVD]

アイ・アム・レジェンド 特別版(2枚組) [DVD]

致死性の疾患により滅んでしまった世界で、ただ一人生き残った男の物語。滅んだといっても、何割かの生き残った感染者達はダーク・シーカーと呼ばれる吸血鬼やゾンビみたいな状態で生き続けており、闇の中を徘徊している。主人公の男はその疾患を治す為の研究を続けており、それが男のすがるべきただ一つの希望だったりするわけだね。
こういった図式だと容易く恐怖や不安をクローズアップしたゾンビ・ホラーになりそうだが、この映画のテーマとなっているのは圧倒的な”孤独”なんだね。この孤独の様を描くのが映画の主軸なんだろう。ただ、これがもしオレだったら、治療なんてしちめんどくさいことなんか考えずに、ダークシーカーの潜んでいそうな家屋を焼き討ちするけどな!昼間で明るかったらこっちのもんだ!奴等を燃やし尽くせ!…なんてことを考えちゃうオレは人間の屑でしょうかどうでしょうか。
しかしなにしろ滅び去り廃墟となったN.Y.の街が美しい。人っ子一人ない、という寂寥感が素晴らしいのだ。そしてこの映画の光景のように、突然この世界から全ての人々が消え去り、自分一人だけが取り残されている、なんて妄想は結構誰でも抱いたことがあるんじゃないだろうか。
早朝の街路を歩いている時。静かな夜一人部屋にいる時。人里離れた自然の中を散策している時。そんな時、あたかも世界に自分たった一人のような幻想をふと頭の中で巡らせたりはしないだろうか。この映画は、そんな妄想や幻想がスクリーンに焼き付けられたもののようにオレには見えた。
そんな”誰もいなくなってしまった世界”を描いたSF作品という多数あるのだろうが、オレなんかは小松左京の「こちらニッポン…」、それとマンガでは高山和雅の「ノアの末裔」を思い出したなあ。
こちらニッポン… (ハルキ文庫)

こちらニッポン… (ハルキ文庫)

ノアの末裔

ノアの末裔