スピード・レーサー (監督アンディ・ウォシャウスキー/ラリー・ウォシャウスキー 2008年アメリカ映画)

■スピード!もっとスピード!

マッハゴーゴー!マッハゴーゴー!マッハゴーゴーゴー!1967年製作の日本アニメ「マッハGoGoGo」を原作に「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟(最近は”姉弟”と呼んだほうがいいのか!?)が実写映画化した「スピード・レーサー」だッ!子供の頃タツノコアニメはよく観ていたけど、あのバタ臭いグラフィックと世界観は、子供心には結構胸焼け気味だったな!しかし海外で実写化されると聞いた時はまあアリかも、ぐらいには思ってた。まあ「ドラゴンボール」の実写映画化よりはイメージしやすいだろ!?

しかしいくら「マトリックス」の監督だとはいえ、古臭い上に、あのいかにもマンガマンガした原作アニメをどう料理するんだ?CGIが踊ってるだけの虚しいキワモノ映画で終わるのがオチだろ?と思っていたのだが、予告編を観るとこれが結構頑張っている!こりゃひょっとして、と思い映画館に足を運ぶと…これがなんと、メチャクチャ面白い映画に仕上がっていたッ!!またやりやがったウォシャウスキー兄弟!

■スピード!さらにスピード!

物語冒頭、レースで爆走するスピード・レーサーに、彼と彼の家族の過去の歴史をオーバーラップさせながら、この物語の人間関係、世界観、なぜスピード・レーサーはレーサーとして走るのか、彼が心の中で葛藤として存在させているものはなんなのか、を全て説明してしまう編集手腕にまず驚かされる!スピード・レーサーの映画の名に恥じないスピーディーなカットの連続!そしてこのレースのラスト、スピードレーサーがかつて深い思慕を抱いていた亡兄の幻影と共にコースを走りぬけるシーンで、死んだ兄への想いの強さがいやがおうにも伝わってくるのだ!ここでオヂサン既にメロメロだ!

映画の主幹テーマとして存在するのは家族愛とか正義とかそういったベタなもんだが、こんなのは取り合えず映画を物語として成立させる為の方便だから、ベタで十分なんだ!しかしベタなりにしっかり描くことで、映画の本当の主役である未来のカー・レースが生きて来る!ここで描かれる未来のカー・レースでは遊園地のジェットコースターのようなトリッキーなコースを最高時速800キロで突っ走り、重力など存在しないかのように宙を舞い、戦闘ロボットのように秘密兵器を繰り出し、ベーゴマのようにお互いぶつかり合いながら格闘を繰り広げるという、現実には有り得ない荒唐無稽なレースが展開される!

そして物語中盤ではウォシャウスキー兄弟お得意の人間同士のクンフー・ファイトも炸裂だ!原作で出てきたのかどうかは知らないが、ニンジャ・ウォリアーまで登場させるという、ウォシャウスキー兄弟のこんな茶目っ気ぶりが実に微笑ましい!物理法則をまるで無視したカー・アクションとクンフー・ファイト!そう、この「スピード・レーサー」はコミック世界のレース・カーを主人公としたもうひとつの「マトリックス」なんだッ!

■サーキットの彼方へ!サーキットの彼方へ!

レースを重ねるごとに超絶的にアクロバティックになってゆくレース・カー同士のぶつかり合いと、サイケデリックに花開くCGI!めくるめくようなスピード感が生む高揚と、曼荼羅のように渦を巻く光の洪水の法悦!クライマックスのレース・ゴールで主人公と映画を観る者が到達するのは、ある種宗教的なまでの高みに達した歓喜と恍惚だ!この映画は、”観る”ということの快楽に徹底的にこだわった、CGIの極楽浄土図だったんだッ!

かつて「ビデオドラッグ」と呼ばれた、色彩と幾何学模様がうにょうにょ蠢くだけの退屈な映像が存在したが、この「スピード・レーサー」こそが真のビデオ・ドラッグだということができるだろう!映画を観ながら気持ちよくなりたいヤツは今すぐ「スピード・レーサー」を観に行けばいいんだッ!あと思い出したのは、スーパーファミコン伝説のゲーム「F-ZERO」、そして「ワイプアウト」あたりの未来レースゲームだな!リアルタイプのレースゲームなんかでは絶対味わえないハイパースピードと浮遊感を味わえること必至だ!映画が気に入った人はこのゲームもやってみるといい!

といった訳でビックリマーク踊り狂う今回のカンソーブンであった!そう、オレは確信したッ!映画「スピード・レーサー」は2008年度、今現在ナンバーワンの映画だッ!(あー言っちゃった)

■「スピードレーサー」予告編

F-ZERO CLIMAX

F-ZERO CLIMAX

☆サントラもカッコよかったぞ!日本語主題歌も一部使われたテーマソングは盛り上がりまくりだ!
Speed Racer (Score)

Speed Racer (Score)