HOT FUZZ/ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!- (監督:エドガー・ライト 2007年イギリス映画)

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という訳でオレの近辺で《今これ観てないとシャレになんない度ナンバー・ワン》の映画『ホット・ファズ』である。署名運動で公開が実現したとか(オレもしました)、某○宝系の某氏などが日記で大絶賛しているなど、中学生系ボンクラ映画大好き人間(含オレ)の話題の中心になっている作品である。一応書いておくと監督のエドガー・ライトはイギリスの新鋭監督であり、2004年にゾンビ・コメディ『ショーン・オブ・ザ・デッド』をヒットさせ、高い評価を得ている。また、タイトルの『ホット・ファズ』とは「いかしたマッポ」という意味らしい。

物語は熱血過ぎてロンドン警察からド田舎の町に左遷された主人公の警官が、その四角四面でバカ真面目な勤務態度で周囲から生暖かく扱われていたが、ある日平和なはずのその町で連続殺人事件がおきて一大事に…というもの。

観る前はハチャメチャグダグダ大バカタコアホ映画だと思ってヘラヘラと劇場へ臨んだのであるが、実際に観た映画は実にしっかり作られた真に良質なコメディ作品であった。何より映画の冒頭から、畳み掛けるようにリズミカルでテンポある編集が小気味いい!物語のこのスピード感がギャグとストーリーとのメリハリをうまく繋げ、様々な伏線をばら撒きながらラストで大爆発するという作りが非常に巧みだった。

ギャグのセンスもアメリカ的なナンセンス・下品・おバカとは一味違うイギリス的な皮肉に満ちたものであり、古典的ではあるが嫌味が無くスマート。特に二段オチが随所で応用され、ふふん、と鼻で笑わせた後に二段目のオチが来てブゥワハハハ!などと大爆笑、という時間差攻撃が幾度かあったりした。ストーリーがある程度しっかりしていることから、案外この映画は英国流ユーモア小説の系譜上にあるものなのかな、とさえ思えた。

しかーし!安心して観ていると後半過激なスプラッタ描写で画面が血の海と化し、狂気に取り付かれた登場人物たちが怪しく蠢き始め、そして最後にはハリウッド・クライム・ムービーへのオマージュともパロディとも取れるような大規模な銃撃戦へとなだれ込み、映画は一気にファナティックなスラップスティックへと大暴走するのだ。

バカ真面目四角四面だった主人公が「もう我慢できねえ!」とばかりにブチ切れトチ狂い、まるでコミック・ヒーローみたいに立ち上がり、さらに当初単なるボンクラ野郎だった相棒が目の覚めるような熱くカッコいいマッポへと大変身、この二人が千切っては投げ千切っては投げの鬼神の如き八面六臂の大活躍、こうして物語は爽快感溢れる大アクション映画として結実するのだ。笑い良しアクション良し、やはり噂通りの傑作です。お見逃しの無きよう!

Hot Fuzz Trailer