マーキュリーマン (監督:バンデット・ソンディ 2006年タイ映画)

鳥だ!飛行機だ!いや、スーパーマンだ!いやいや、バットマンだ!ん?やっぱりスパイダーマンだ!え?それも違う?ええとあれはううんと…。あ!そうだあれはタイが生んだスーパーヒーロー、マーキュリーマンだああああッ!!

という訳でタイ発・アクション・ヒーロ−映画、『マーキュリーマン』である。黒い全身タイツにグリグリした目ん玉、なんかスパイダーマン・ベノムぽいなあ、なんて言ってはいけないのである。磁力みたいのを出して物体を動かせるけど、X-MEN?などとも言ってもいけないのである。鋼鉄の体だったり炎の力を操ったりできるけれどファンタスティック・フォー?などとも決して言ってはいけないのである。チベットに伝わる謎の力の影響でヒーローになるって、それってレインボーマン?などとは口が裂けても言えないのである。そんなことを言ってる奴はみんなタイのゾウに頭踏み潰されてしまえばいいんだヨッ!

今やタイのアクション映画といえば、『マッハ!』『7人のマッハ!!!!!!』『トム・ヤム・クン!』『ロケットマン!』など、秀作良作が目白押しである。この『マーキュリーマン』もそれらのアクション映画に携わった映画人たちによって製作されているのだ。狭い国だからアクション映画作るとメンツが被さっちゃうだけでしょ?とかいう突っ込みはナシである。逆に言えばスーパーヒーローモノだろうがなんだろうが、タイの必殺武術・ムエタイの破壊力抜群の技が繰り出される映像が見られればそれでいいのである。という訳で先に挙げたタイ・アクション映画を観てションベンちびりウンチもらしたことのある全国のボンクラ映画ファンが今観るべき映画、それはこの『マーキュリーマン』なのだああああッ!!ってかなんでマーキュリーなの…?

さて映画は冒頭からカンボジアの超能力少年、そしてチベット寺院を襲う謎のテロリスト集団、バンコクの火事現場…とまるで007のようにワールドワイドに展開してゆくのである。なにしろチベット寺院で繰り広げられるアジア美人2名による格闘技の応酬は、そこだけでも見応え満点だ。いや、格闘というより、その美人ちゃんぶりが…。この美人ちゃん2名の格闘シーンはその後も登場して目の保養をさせてくれるんである。あーもうマーキュリーマンなんて出なくていいから、この美人ちゃん2名だけでお話こさえてくれればよかったのになあ…。一応お名前を書いておくと、チベット尼役の美人ちゃんがテコンドーの名手ジンウィパー・ゲーウガンヤーたん。テロリスト役の美人ちゃんが元スーパーモデルのメティニー・キンパヨームたんである。だから45過ぎてんのに人の名前に”たん”って付けるなオレ。

で、まあお話だが、テロ襲撃現場に向かった主人公が、胸に”太陽の護符”を刺されて倒れちゃうんですが、逆にその”太陽の護符”のパワーによりスーパーヒーロー『マーキュリーマン』として蘇るわけなんですね。でも、最初究極の力を秘めた”太陽の護符”を奪ったテロリスト協力者が、なんでそれを主人公の胸に刺したまま逃げちゃうのか謎なんですが、タイ映画は細かいところを突っ込んじゃダメなのはいうまでも無いことなのである。で、力に目覚めた主人公は、マーキュリーマンのコスチュームをオカマの弟に縫ってもらっちゃったりするんですね。タイはお国柄たいへんオカマちゃんが多いんですが、この映画でも実に自然にオカマちゃんが扱われているところが妙に感心しましたねー。で、このオカマちゃんが、イザという時に滅法武術が強いのも、やっぱり妙に感心しましたねー。

その後いろいろあって(フモさんは書くのが面倒臭くなってきて端折りたがっているようです)、マーキュリーマンがテロリストたちと相対するわけなのだが、敵のテロリストがマーキュリーマンの弱点を突くアイテムを開発していたり(クリプトナイトかよ!?)、アメリカ転覆を狙うテロリストたちが敵役なのになぜか最終的にマーキュリーマンのお母さんを人質にとって孤島みたいなところでせこく戦っちゃったり(仮面ライダーかよ!?)、最後に女テロリストが”月の護符”の力で氷を操る超人としてマーキュリーマンの前に現れたり(Mr.フリーズかよ!?)、息を呑むような思いも寄らない展開が目白押しで(ホントにそう思ってるのかオレ!?)、最高に盛り上がったのはいうまでも無い(オイオイ)。ただやはり、ワイヤーアクション込みではあるが、ムエタイ技を中心としたアクションシーンは、ハリウッド製ヒーロー物と違ってリアルな緊張感があって楽しく観られたことは確かだと思いましたマル!

■『マーキュリーマン』予告編