[DIARY][FOOD&DRINK]東京タワーの近所にある創業160有余年の老舗の鰻屋に行ってきた!

昨日は、連れの誕生日が間近だったので、メシでもご馳走しようということになり、本人の希望で鰻屋へ鰻を食いに行くことになった。誕生日でご馳走、と言うわけだから少しは奮発してあげようと思い、都内の鰻の旨い店をあれこれ探し、見つかったのが東麻布にあるこの店、『五代目 野田岩』である。創業160有余年、池波正太郎も食べに行ったという、日本で一番有名な老舗の鰻屋だという話だ。季節により天然鰻も使うことがあるという。そんな能書きに圧倒され、「とりあえず行くべし!行くべし!」と前日から興奮気味だったのは連れではなく、誰あろうこのオレ様のほうであった。いつもはたいそうな事を言ってるが、実はブランドやネームバリューに微妙に弱い男らしい…。
さて当日、遠足に出かける幼稚園児のようにはしゃぐオレと、それを生暖かく見守る連れは、日比谷線神谷町に降り立った。お店の午後の開店時間は5時からなのだが、人気店であるため相当並ぶと言う話だったので、晩飯を食う時間としてはちょっと早かったが、開店前に行って並ぼう、という算段だった。到着したお店は蔵のような構えの建物で、「おおなんだか歴史とか格調とかを感じるぞ!」と目をキラキラさせるオレ。5時ちょっと前に着いたが特に並びもなくすんなり入れた。和服の店員さんに案内され入ったお店の内装も、実にレトロで老舗の雰囲気を醸し出している。そしてなんと、オレらが入った後に、あとからあとからお客さんが来店、開店後すぐほとんどの席が埋まってしまったではないか。さすが人気店。

まず飲み物を注文。いつもはビールのオレだが、ここはワインだ!鰻だがワインなんだ!文句あっかコラ!といつになく逆上し、《シャトー・ボーモン オー・メドック*1》なる赤ワインを頼む。この『野田岩』、実はワインも置いてあり、話では有名どころの王道なセレクトなのらしい。まあ知ったように書いているが、オレがワインなんぞに詳しいわけがないということは、日記の読者であればすぐさま気付く事実であろう。ちょっと気張ってみたかたんだよッ!たまにはさせろよッ!

そして鰻。せっかく来たんだからコースを注文しよう!ということになり、《鰻重コース》を頼んでみる。 コースの内容は「前菜」「白焼き」「鰻の茶碗蒸し」「鰻重」「デザート」ということになっている。ワインで乾杯したあと、まずは前菜、これは鰻の煮凝り、枝豆、そして鰻の燻製。この鰻の燻製の濃厚な味わいにフモさん「おおお!」と呻きワインをがぶ飲みする。実に美味い。鰻とワインって結構合うじゃないですか。連れは煮凝りに感動しておった。ちなみにこの店の箸袋、「天然鰻のお吸物のきも、又はきも焼に釣針が入っていることがありますのでお気をつけくださいませ」なんて書いてある。

次は鰻の白焼き。塩、醤油でお好みに、ということであったが、オレは山椒をかけた味が好きだったな。これはちょっと淡白であった。そして鰻の茶碗蒸し。これがまた濃厚な味わいの上になんとフカヒレが入っているではないか。またもやフモさん「むおおお!」とわめくと茶碗蒸しの味をしみじみ堪能する。連れもなんだか変なスイッチが入り、目をランランとさせながらスプーンを動かしておる。
そしていよいよメインの鰻重。いい具合に炊き上がったご飯と鰻を同時に頬張ると、またもやフモさん「ぐおおお!」と雄叫びを上げ、「なんだかわかんないけどこりゃうめえ!」とレベルの低い感想を漏らしながら幸せ一杯に箸を進めるのであった。そして鰻に振りかけた山椒とワインが妙にマッチすることに新たな感動をおぼえ、またもやがぶ飲みするオレ。一緒に出された漬物と肝吸いも美味であった。大根おろしもついていたが、これは特にいらなかったか?

最後はデザート。メロン、スイカ、梅酒ゼリーのどれか、ということだったので、連れと二人梅酒ゼリーでさっぱりしめる。それからほうじ茶が出されたが、飲み終わらないうちに熱くて新しいのと取り替えてくれるのがびっくりした。

鰻は全体的にあっさりさっぱり、甘すぎず辛すぎず、非常に絶妙な味のバランスで調理されておった。いってみれば関東風ということなんだろうか、この突出しない、しかし無駄なものがない、という味付けが老舗のものなのであろう。と知ったような事を書いてみるオレであった。いいじゃん!書かせてよ!
というわけで狂乱の鰻コースは無事終了。ワイン3杯空けた連れは「ちょっと酔っ払っちゃった、テヘ★」などと柄にもなくカワイコぶっていたが、それを小耳に入れた店員さん、「大丈夫ですか?」と言ってなんと帰りは玄関まで送ってくれたではないか。実に至れり尽くせりのサービスに感激至極の我々。帰り道で見上げた東京タワーのライトアップが綺麗であった。

さてこの鰻ツアーには後日談があり、その日の晩、鰻の滋養が相当効いたのか、深夜に「どりゃ!」とばかりに目が覚めて、しばらく眠れなかったオレである。日頃ろくなもん食ってない分、体に行き渡った鰻エキスが激烈であったのであろう。鰻恐るべし、である。

■天然うなぎ 五代目 野田岩
住所 : 東京都港区東麻布1-5-4
電話 : 03-3583-7852