つんつるてん / 山上たつひこ

つんつるてん (THE VERY BEST OF Tatsuhiko Yamagami)

つんつるてん (THE VERY BEST OF Tatsuhiko Yamagami)

山上たつひこ撰集》の第5巻、最終巻である。この傑作撰では巻毎に収録作品のテーマをなんとなーく統一していたようだが、この5巻では『あるぷす犬坊』などを中心とした、動物が主人公のマンガを集めたようだ。しかしそこは勿論山上の描く動物マンガ、擬人化された下品で胡乱な動物たちが人間達の生活に紛れ込み、オゲレツの限りを尽くすマンガばかりである。そしてこれがまた実に面白い。
そういえば山上の代表作『がきデカ』では、「八丈島のきょん!」だの「あふりか象が好き!」だの「とても珍しいニホンカモシカのおしりっ!」だの「うし時きょん分きつね秒」だのといった無意味な動物ギャグが多かったよなあ。あと”名犬栃の嵐”などといったキャラも登場していたし、こまわり君もしょっちゅう動物に変身していたよなあ。あああ今こうして思い出しても笑えて来るんだが、なんであんなに可笑しかったのか全然わかんないんだよなあ!
それと気付いたんだが、山上のマンガに登場するキャラってどこか早熟なんだよな。いたいけな小中学生にオヤジ臭い行動をとらせたり、大人顔負けの卑猥な行動をとらせたり、とかいうギャグが多いんだが、これはミスマッチを狙った単なるギャグというよりも、この”早熟さ”というものが山上の深層心理にあるキーワードのひとつなのかもしれないな、とちょっと思ってしまった。掘り下げてないけど。
それにしても《山上たつひこ撰集》、全5巻読了したが、こうして眺め渡すと本当に山上たつひこは才能ある優れたギャグ漫画家だったということが伝わってくる。選者の江口寿史の”山上愛”の深さもあったのだろう。素晴らしい撰集であった。ごっつぁんです!