かむろば村へ(2) / いがらしみきお

かむろば村へ 2 (ビッグコミックススペシャル)

かむろば村へ 2 (ビッグコミックススペシャル)

銀行勤めがたたり、お金の恐怖症になってしまった男が、貨幣経済に依存しない自給自足の農耕生活に憧れて寒村に移住するが、田舎は田舎で都会もんには想像もつかない世界であった…というお話。1巻目に続いて密で鬱陶しいぐらい濃い田舎の人間関係が描かれるが、都会には存在しない共同体意識は、それはそれで悪いものではないのかもしれない。それがイヤなら都会に帰ってサバサバした人間関係に甘んじればいいのだ。ただ、ここで描かれる共同体意識が現実に地方にあるものなのかどうかはオレは分からない。田舎は決してユートピアではないが、いがらしはここでぎりぎりにリアルなユートピアを描こうとしているのか。実際、地方出身者で、地方独特の人間関係が苦手だったオレでさえ、このかむろば村の人々が、奇妙に温かく見えてしまう。ここで描かれるかむろば村の人々には、都会で通用するような論理も倫理も無かったりはするのだが、逆に論理と倫理がありながら殺伐としている都会というものへのアンチテーゼとなっているのだろうか。