あ○この霊的新聞

以前日記で紹介した『霊界新聞おばちゃん』のことを憶えていらっしゃるだろうか。

”霊界新聞おばちゃん”である。もともとはトラックの運ちゃんで荷物の配送をしてる人なのだが、毎月毎月自分で書いた『あ○この霊界新聞』というのもついでに配送してくれるのである。特に頼んでもいないのに届く所は恐怖新聞と似ているかもしれない。この『霊界新聞』、要するにニュー・スピリチュアル系というか、端的に言うならば”電波系”の新聞で、サタンとかチャクラとかチベット死者の書などがテーマとなっている。最新号の記事は「夫婦について」と「石原真理子のバカ女人生!」である。これらがA4の用紙に隙間無くびっちりと書かれ、彩色した達者な絵が添えられ、カラーコピーされているのである。
■ヤ○ザと電波と神様の間 

このおばちゃんが久しぶりに事務所に訪れ、くだんの『霊的新聞』(”霊界”から名前を変えたらしい)を置いて行ってくれたのである。ヤタ!以前フエタロさんからリクエストがあったので、今回その新聞のスキャン画像をお送りしようと思う。
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縮小してあるので読み難いかもしれないが、要するにこういうことらしい。

  • 古代エジプト時代から地球を支配している《イルミナティ》という秘密結社が存在している。
  • 日本はもともと霊的国家であったが、この《イルミナティ》の魔術により物質主義・拝金主義の国と成り果ててしまった。
  • 政治が悪いのも毒ギョウザ問題も燃料高騰も派遣会社がピンハネしているのも全てこの《イルミナティ》のせいである。
  • ダーウィンの進化論は間違っている。
  • キリスト教などの宗教は《イルミナティ》が人類を奴隷にする為にでっちあげたものであり、それは実は神ではなくサタンの行いである。


…えー、あえて何も突っ込まない方針ということにさせてください…。誰かに迷惑かけていないならこういう方はそっとしておくのが一番ではないかと。だいたいオレだって実は誰かに「あのヒトのことはそっとしておいてやろうよ」とか上から目線で言われてるかもわかんないしな!でも霊だの見えない力だのといったこのテのスピリチュアル系って、不幸で無知な人のなけなしの自己肯定なんだろうなあ。

見方を変えて、オカルトとスピリチュアルとか言われてるものってどう違うんだろうなと考えてみよう。オレも結構オカルトは好きだし、荒俣宏の本とか読むとスゲエなあとか思うけど、それは真実かどうかというレベルの話ではなくて、「人間というのはなんととんでもないことを妄想し、そしてそれを体系化してしまうのだろう」という驚きなんだよな。言ってみればオカルトは”人類の無駄な英知を結集した論理体系”なんだ。要するに、オカルトというのは、狂ってるんだよ。その狂ったものを客観的に観察するから面白いんだよ。

しかしそれと比べると昨今スピリチュアル系とか言われているヤツって、どうも底が浅いんだよな。イマイチつまんない。やっぱり掘り返した死体とか煮詰めた爬虫類とか致死性の毒植物とか中世のいやらしい書物とかを集め、獣のような吼え声をあげながら24時間泥まみれになって踊り狂えばあなたも幸せになれます、とか言ってるスピリチュアル系があったらもうちょっと面白くなるんだがな。いやこれでは誰もついてこれないか…。

確かに既知と未知のグレイな領域というのはあって、そのグレイな領域に「実は何かがあるんじゃないか?」と思ってしまうことはあるのかもしれないし、それを想像する楽しさはあると思うのよ。逆に言えば、人間とはそういう好奇心を持ってしまう生き物なんだ。オレは怪力乱心を語るのが大好きだしね。でもそこに「何かがある!」と断言してしまうとアブナイってことなんじゃないのかな。だってそれはあくまで未知なんだから。