Mr.ビーン カンヌで大迷惑?! (監督:スティーブ・ベンデラック 2007年イギリス映画)

ローワン・アトキンソン演じるTVシリーズ『ミスター.ビーン』は、10数年前ブームになった時にはなんとなく観ていたような気がするけれどもそれほどハマるって程でもなかった。ただオレの妹が大ファンだったので、妹にプレゼントする為に輸入玩具の店にビーンお気に入りの熊ちゃん人形を探しに行った思い出がある。目がバッテンになってる茶色い熊だ。なぜかオレも一つ持っている。映画版前作『Mr.ビーン』から10年振りになる今作『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』は、くじ引きでカンヌ旅行のチケットが当たっちゃったビーン氏がフランスに乗り込み、かの地を大パニックに陥れるというコメディ映画。クライマックスのカンヌ映画祭のシーンは、実際に映画祭開催中に撮影されたものらしい。

コメディ映画のギャグの内容をあれこれ書くのは差し控える事として、映画の特色として挙げられるのは、ビーン氏がまともにフランス語が喋れない為に意思疎通不能なキャラとしてあれこれお騒がせするが、これはTVシリーズではもともと台詞を言わないビーン氏にとって格好の設定だったということかな。映画版前作ではTVとは違う長丁場を持たせる為に、あえてビーン氏に台詞を導入、これがファンにとっては賛否両論だったことを考えると、よりビーンらしいビーン映画になっているということができるかも。オレ的には前作も面白く観られたけどね。しかし”意思疎通不能キャラ”ってある意味最強だよね。何やったって頓珍漢になっちゃうんだもの。

それともうひとつ、乗り込む電車を間違えた挙句、切符まで無くしたビーン氏が様々な手段を取ってなんとしてでもカンヌへと辿り着こうとするのだけれども、この設定のお陰でパリからカンヌへとフランスを横断しながら各所の風景を堪能できるという、フランス観光映画としても楽しめるということだね。特にフランス牧草地帯の光景は一回住んでみたいと思わせるほどの美しさ。フランスなんかに興味の無いオレでさえ旅行してみたくなっちゃったよ。

さらに何かの間違いで一緒になっちゃう少年ステパン(マックス・ボルドリー)と、カンヌ映画祭に出席する為にビーン氏と同行しちゃう新人女優サビーヌ(エマ・ドゥ・コーヌ)との、ちょっとしたロードムービーとしても楽しめるね。国籍も年齢も違う3人がドタバタしながらも旅を通じて次第に心が通じ合ってゆく、という物語が素敵だ。エマ・ドゥ・コーヌは最初こそ普通のフランス人女優なんだが、映画が進むにつれ段々とキュートに見えてくるところもいいな。ナルシスト監督役のウィレム・デフォーの勘違い演技振りも楽しかった。

しかしこういっちゃなんだけどビーン氏は最初キモかった!なにしろ顔が怖いよ!こんなオッサンが実際に隣にいたらオレは怒り狂っちゃうよ!やることなすことイラつかせるし!だから冒頭はあんまりノレなかったけれど、中盤あたりから面白く観られたかな。映画序盤から、くじで当たったビデオカメラで執拗にあれこれ撮影するギャグが繰り返されるんだけれど、これが実は壮大な前フリだった…という部分には驚かされたな。詳しくは映画を観てよ!そして、大団円となるラストには、不覚にも感激してウルウルしてしまったオレだ。まさかビーン映画で泣かされるなんて!全てが昇華され開放感と高揚感に満ちたあのラストはなかなかのものでしたよ。

■Mr BEEN'S holiday TRAILER