28週後... (監督:ファン・カルロス・フレナディージョ 2007年イギリス・スペイン映画 )

人間を狂気の殺人鬼へと変えるレイジ・ウィルスの漏洩により崩壊したイギリス。しかし感染者全てが餓死したことにより災厄は沈静化した。そして治安維持の為派遣されたアメリカ軍の厳重な監視のもと、疎開していたイギリス国民が国家再建の為少しずつ居留区に戻ることを許される。だが事件から28週後、根絶したはずのウィルス感染者の女性が発見される。しかも、彼女はウィルス抗体を持ち、発症による狂気の発作を起こしていなかった…。ダニー・ボイル監督による傑作ホラー『28日後...』の続篇。

前作に引き続き、今回も感染者の皆さんは元気一杯全力疾走しているところを見せてくれます。もうその疾走感たるや見ていて惚れ惚れするほどです。障害物さえひょいひょい乗り越えちゃうところなんざ、ちょっとしたアスリートです。さらに腕力も強くて、ちょっとしたバリケードもボコボコぶっ壊して建物に侵入し、ギャアギャア喚くだけの人間どもをバクバク齧り殺します。全くつええよなあ。何食ったらあんなに強くなるんだろ…って人間だよ!そして感染者の皆さんの凄いところはどんなに走り回ろうが拳骨でガンガンバリケード叩こうが筋肉痛も何も感じないところですよね。最強ですよね。将来的にはこのウィルスを無毒化し運動能力増強用のウィルスベクターとして使えるのではないかと思います。しかしそんなゾンビの皆さんが壊滅した理由が喰いもん無くなった事による餓死だなんて…あまりに分かりやすく当たり前すぎて、逆に新鮮でした!だいたいさあ、他の映画のゾンビは、なんで腐って無くなんないの?

さて今回の主役はなんと言っても強力な最新兵器で武装したアメリカ軍の皆さんでしょう。前作では滅び去り人っ子一人いないイギリス市街地の静寂が印象深かったですが、今作ではアメちゃんの軍隊がボッコンボッコン爆炎を上げまくってくれてお祭り騒ぎのように賑やかです。なにしろ民間人が大量に隔離された部屋に感染者が乱入し、連鎖感染により大パニックが巻き起こるシーンからの一連の流れが凄い。隔離室から蜘蛛の子を散らすように逃げ出す民間人とそれに襲い掛かる感染者、それを発見した狙撃兵「本部本部!どれが市民だか感染者だか分かりません!」そして本部「う〜ん、面倒臭いから全部殺っちゃって」と大雑把な指令!さすがアメちゃん!そして街路の爆撃と焼灼、さらに念をいれて毒ガス散布、遺体への火炎放射と、もはや止められない止まらない状態!「疑わしきは空爆」「殺っちゃったもん勝ち」というアメちゃんの基本理念を上手く映像化した素晴らしい映画に仕上がっております!

しかしなあ、このお話、よくよく考えてみれば監視された居留区から勝手に抜け出した主人公姉弟がそもそもの発端となって巻き起こった災厄ということもできるんではないのか?さらに司令官でセキュリティオールパスの姉弟の父親が、職権濫用して本来なら高レベルな防疫隔離室にいるレイジ・ウィルス感染の妻と接触した挙句不用意にもキスによる唾液感染起こすのな。お前司令官なら今回のレイジ・ウィルスがどんな風に感染するかぐらい分かってんだろ?お陰で殺人鬼となったパパは一般市民と軍隊を壊滅させるほどのとんでもない感染者となって大活躍だ!お前はランボーかよ!とどのつまりこれだけの大殺戮がたった一つの家族のせいで起こったとも言えるんだよな。はた迷惑も甚だしい家族だよ!いいのかこれ!?おまけにラストは人類がアレのコレでソレになっちゃってるじゃないか!最悪すぎるよ!映画史上最悪だよこの家族!

■ゾンビが全力で追いかけてくる映画「28週後...」日本語予告編