ソウ4 (監督:ダーレン・リン・バウズマン 2007年アメリカ映画)

「へえ、ソウってもう4作目なんだ?」「そうそうそうそう」…えー、初っ端から脱力感溢れるオヤジギャグを飛ばしてますが、こうでもしないと今回カンソーブンを書く気力の持たないオレであります。まあ誰もが言っている事でありますが、『ソウ』は一作目が一番よくて、あれだけにしておけばホラー・サスペンス映画の金字塔としてファンの心に残ったでありましょうが、これが『2』『3』と続編を作り、そして製作されるごとにグダグダ感が増してゆくという、「柳の下にはもうぼうふらしか残っていない」ような有様で、こうして冬になって新作が公開されるたび、冬の寒さがなおさら身に染みるような寂寞感をココロに去来させる、実に罪作りなシリーズなんでございます。まあ、オレなんかはホラーの残虐シーン観られりゃそれでいいや、と割り切ってはいるんですがね…。

さてこの『ソウ4』でありますが。『2』は『1』と趣旨変えしようと、集団でのパニックを描き、『3』では遂に首謀者ジグソウまで殺してしまうというという具合に、結構展開に努力の跡が見えるんですが、この『4』ではとうとうジグソウが死んだ後なのにゲームは続いている!というお話になっています。それぞれ前作までの展開を下敷きに、重箱の隅を突っつくような細かな場面を掘り起し、この『4』だと前3作全てを伏線とするものですから、製作者側が「どうだこれが伏線だったんだ凄いだろ!」と鼻息荒くしているのは判るんですが、観ているもんとしては「そんな何年も前に見た映画の細けえシーンなんざ憶えちゃいねーよ!」と逆ギレしたくなるような状態となっているんであります。大体映画の間中、重要な登場人物の一人を「こいついったい誰なの?」とずーっと考えていたぐらいです…。こちとらもうジジイなんだからもうちょっと記憶を頼りにしなくていい老人に優しい映画作りやがれ!と啖呵の一つも飛ばしたくなるのであります。

で、なにしろ前作までのストーリーが全てまたがった造りになっているもんですから、設定の無理が相当膨らんでいるんですね。そもそもあの精密拷問機械を誰がどうやって作ってるんだよ!ジグソウの協力者がうんぬんとか言ってるけど、工場一つ無きゃアレだけのもの作る事出来ないだろ!実はジグソウは精密拷問機械製作専門の会社を持っていて、多数の設計者や工員や経理のオネエサンを抱えて給料払っているんだろうな。で、下町の隅っこに汚い工場が構えられていて、ツナギ着たあんちゃんが溶接トーチの火花散らしたりして、「えええ、また設計変えるの!?」とか「今週受注件数多いけどいったい何人殺すつもりだよ!?」とか言ってブーたれたりしてるんでしょうな。ってか書いてたらこれ面白いから誰かパロディとかスピンオフ作品とか作りやがれ!タイトルは勿論『(有)ジグソウ工務店』だ!

あと今回はこれまでのように予めどこかに設えられた拷問器具で殺戮しているわけではなくて、結構あちこちの場所に持ち込みで機械を設置してるんですが、これもやはり一人じゃ無理でしょうから、多数の人間をそれと判らないように現場に派遣して運搬・搬送・組み立て・設置する必要があるでしょう。これの隠れ蓑とするのは運送屋に化けるのが一番だと思われます。ということはジグソウは運送屋の会社も一つ抱えていることになる。やっぱり会社名は『ジグソウ引越しセンター』でしょうか。で、運搬用の車両には「お見積もりは無料!電話1本すぐ配達!いつもニコニコ ジグソウ引越しセンター」なんて書かれてて、マスコットのキャラクターとして例のブサイクな人形の顔が車体にペイントされてるんでしょうな。当然このブサイク人形の顔のワンポイントが配達員の作業着の胸に刺繍されているんですよ。萌えますな。

映画の内容には全然触れていませんでしたが「お話がごちゃごちゃしてなんだか訳が判んなかった」ということにしておいてください。しかしこれまだ続けるつもりみたいですな。いったい何作続けるつもりか判りませんが、最後は超能力とかUFOとか超古代文明がどうとかいうSFになっちゃうんじゃないのか?などとさえ思っちゃう始末であります。

■Saw 4 Official Trailer