ヒルズ・ハブ・アイズ2 (監督:マーティン・ワイズ 2007年 アメリカ映画)

この間見た『ヒルズ・ハブ・アイズ』の続編。前作の惨劇から一年、軍部の調査基地が置かれたかつての核実験場セクター16の調査隊は”やつら”の襲撃により全滅させられていた。それを知らず訪れた訓練中の新兵達に、またもや”やつら”の魔の手が迫る!といったお話。前作はクレイブン作品『サランドラ』のリメイクであったが、こちらはクレイブンの息子ジョナサン・クレイブンがストーリーを手掛けた完全オリジナル。
まず襲われる兵隊の皆さんがなにしろ新兵ということで、戦闘がへっぴり腰のグダグダ、命令系統もまともに存在せず、機関銃を持ってるだけでシロウトに毛が生えただけの連中なので、観ていて苛付くことがしばしば。緊張感の無い兵隊が何人死んでもそりゃあたりまえだろ、と。「多分仲間撃っちゃうんだろうなあ」と思ってたら本当に撃っちゃうし、単独行動をした人間は必ず死ぬし、お前ら戦場舐めとんのか、と。ヌルいんだよ、と。そんな訳で中盤あたりまでは結構ありがちで退屈な展開である。モグラ穴のように地中に張り巡らされた穴を利用して兵隊達を襲う奇形人間達、というのは、これはベトナム戦争イラク戦争を思わせる砂漠で再話した、という風にも取れるんだが、実際そこまで深く掘り下げたお話でもない。
中盤から兵隊達が奇形人間達の棲む廃坑に潜り込んでからは割と見られるものになるか。男は叩き殺され食糧にされるが、女は生け捕りにされ子孫作りの為に奇形人間達の性的奴隷にされる、という恐怖感が新兵の中にいる女性兵からじわじわ伝わってきて、逆にラストの新兵たちの反撃を一層血生臭く暴力的な復讐劇へと変えていた。全体的にみると、ミリタリーとホラーの融合、という着想は悪くないと思う。次は精鋭兵と化け物との戦いというものを観てみたいような気がする。