ホステル2 (監督:イーライ・ロス 2007年 アメリカ映画)

大傑作スプラッタ鬼畜ムービー『ホステル』の続編である。東欧スロバキアを旅するバックパッカー達を拉致監禁し、高額の会費で競り落とした会員に拷問虐殺のお楽しみプレイを提供する謎の組織《エリート・ハンティング》。前作ではその《エリート・ハンティング》の魔の手に落ち、一人また一人と絶叫する血塗れの肉塊へと変えられてゆくアメリカ人ドスケベ観光客のおぞましい運命を描いたが、この『2』では屠殺される獲物が男から女へと変わっている。

前作で愉快だったのはなにしろ前半の「ヨーロッパ女はみんなアメリカ男に簡単にオマタを開くのさ!」と豪語する低脳糞馬鹿アメリカ人が「スロバキア女子きゃわいいよう、萌え〜だよう」と鼻の下を伸ばし海綿体を程よく充血させ、あちらこちらでウヒャウヒャとやりまくる、ヌルくユルく頭の悪い展開が後半一転地獄への急展開!タチの悪い女の罠に落ち、最後には泣き叫び命乞いしながら生きたまま皮を削がれ手足を捥ぎ取られ、家畜以下の死に様を見せてゴミのように捨てられる、その胸のすくような拷問と殺戮の無慈悲さであった。特に拷問シーンのサディスティックさと、後半のジェットコースターを思わせる追跡劇は、製作のクエンティン・タランティーノの手腕によるところが大きいだろう。全体的にひたすら胸糞悪い悪趣味な映画だったというのが評価が高い理由だ!ヒャッホーッ!

さて今作では《エリート・ハンティング》という秘密結社がどのように”獲物”をターゲットし、それを競りにかけ、罠に陥れるのかがまず描かれる。多分世界中にいると見られる顧客達がネットオークションで”今回の獲物”を品定めしている様は不気味であると同時に滑稽だ。前作では人格を持たない”殺戮者”でしかなかった顧客が、今作ではそれなりに人格を付され、その人間性が今回の物語の鍵となる。

そしてこの『2』でのターゲットであり”屠殺商品”として登場するのが3人の女子大生である。真面目そうなベス(ローレン・ジャーマン、「テキサス・チェーンソー」主演のホラー・クイーン)、イケイケのホイットニー(ビジュー・フィリップス)、ドン臭くてダサいローナ(ヘザー・マタラッツオ)、それぞれ分かりやすいキャラで分けられて、殺される順番も予想が付いたが、「ひょっとしてタラが絡んでるから、この3人はあっさり殺されて、後半40分から本当の主人公が出てくんのかな?」などと、『デス・プルーフ』を観た後だったばかりにいらぬ邪推までしてしまったが、展開はあっけないぐらい予想通りだった。

やはり比較することになってしまうが、『1』での寒々とした異邦の地での不安感は『2』では消滅し、『2』で描かれるのは『1』よりも多少技巧的に描かれた(『SAW』的な?)屠殺場面、《エリート・ハンティング》の内部の様子、そして顧客の内面や動機といったところか。しかしそのせいで物語描写が説明的になり、つまりは『1』の解題的になり、『1』の持っていた瞬発力やスピーディーな展開が『2』ではまるで感じられなかった。全体的なユルさは、実は監督イーライ・ロスの持ち味であり、ある意味タラに振り回された前作を自分のものにしたのかもしれないが、やはり『1』のファンとしては見劣りするものと見てしまう。

だがね。クライマックスのアレね。あれ、いくら18禁でも画面映していいのかねワハハハハ!で、あのような展開になるわけだが、いやあ、つまり、やっぱ、お馬鹿映画だったのだね!ちょっと『1』と比べすぎちゃったが、映画史上空前絶後(ホントかよ)のあのお下劣な展開は、あれだけでホラー映画ファンの語り草になるだろうか!?いや、別にならなくてもいいけど!

■Hostel 2 Trailer