ウェス・クレイヴン's カースド

この頃いつにも増して日記を書く気力が無い。随分と前から「書く事が無い書く事が無い」とぼやき続け、どうでもいい事柄に無理矢理言葉を搾り出し、あーだのうーだの無意味な間投詞を入れて文章を水増しし、そうやって誰に頼まれた訳でもないのに益の無い無駄な苦労を自らに強いて日記を1本仕上げるのである。そうだ、こういうネタの無い時はDVDでもレンタルして、たいしたことのない映画のカンソーを意味ありげにグダグダと書き散らかすに限るわい、と、いつものように穴埋め記事を作る事を思い立ったのだ。
しかしレンタル屋に行くとなんだか長くてダルそうな映画や、カンソーさえ出なさそうなダメ映画や、カンソーブンを書くのに労力の要りそうな社会派ドキュメンタリーばかり並んでいるではないか。いかん。これでは穴埋め記事が出来ない。サクッと観られてサクッと記事の書けるもの。そうだ。ホラーだ。オレにはホラーがある。そう思って棚を探すと、《ウェス・クレイヴン's カースド》の名が。おおウェス・クレイブン。《エルム街の悪夢》他ホラーの良作を作り続けたこの監督の作品なら間違いあるまい。しかも脚本はクレイブン監督のあの大傑作《スクリーム》のケヴィン・ウィリアムソンではないか。なんだか作品名は聞いた事が無いのだが、一応劇場公開はされてるみたいだし、何の話題にもならなかったとしてもホラーではよくあることだ。
という訳で1本借りると例によってピザ食いながら観ていたのである。どうやら映画は現代の狼男を題材にした映画らしい。ティーンエージャーの弟とTV製作会社に勤める姉を主人公にしているらしい。この姉がなんだか陰気臭さが骨の髄まで染み込んだ女子で…って、よく見るとクリスチーナ・リッチはないか。さすがアダムス・ファミリー、陰気なわけだ。舞台はハリウッド、最初のシーンがマルホランド・ドライブで、ちょっとリンチを思い出すオレであるが、おお、いきなり車の事故!そして怪しい影!怪我をした姉弟は体に異変を感じ…って、要するに狼男になっちゃうんだろ。…なんかウダウダしてるな…。だから狼男なんだって。早く気付けって。…。テンポ悪い…。…。ああ終わった…やっぱりグダグダだった…。
という訳でカンソーを書く気にもならないグダグダのホラー、《ウェス・クレイヴン's カースド》であった。ウェス・クレイブンどうしてこんなもん作ったんだろうなあ…。あ、そうか、オレと一緒で、クレイブンも「撮りたい映画が無い」とぼやき続け、どうでもいい映画を無理矢理搾り出したんだろうなあ、と思ったんであった。映画監督が何のイマジネーションもインスピレーションもなく惰性で作った映画。オレの日記と一緒ではないか。そう気付くと「人の事は言えねえなあ」となんだか哀れになり、貶す事さえできなくなってしまったオレであった。