300《スリーハンドレッド》 (監督:ザック・スナイダー 2007年アメリカ映画)

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《300》である。300人のスパルタ精鋭兵が100万人のペルシャ軍と戦っちゃう、という映画である。勿論スパルタとはスパルタ教育の語源になったあのスパルタである。だからスパルタの子供達は小さな頃から火のついたボールでキャッチボールしたりとか、夕日の中でうさぎ跳びしたりとか、なんとか養成ギブスを体に付けられたりとか、重いコンダラを引っ張ったりとか、卓袱台を引っ繰り返されたりしているんである。そしてその子供達の姉ちゃんが木陰で涙を流しながらそれを眺めている、という映画なんである。でも天に輝く王者の星を掴むまで決してあきらめはしないのだ。

♪重い盾と槍〜試練の道を〜
これがぁ〜 スパルタのぉ〜 ド根性〜

……ここまでで何人が付いてきているのか不安である。

えーと、原作が「シン・シティ」のフランク・ミラーのコミックで、「シン・シティ」と同じようにいかにコミックの画像を忠実に再現するかに労力を結集した映画であるわけである。CG技術の発達によりその試みは殆ど成功しているし、そういった観点からだけ見ればいい映画なんだと思う。ただコミックは直情的な描写で感覚的に完結していても作品としては遜色無かったりするが、映画が全編直情的で感覚的だと、イメージビデオを延々見せられているのと一緒になってしまう。

監督のザック・スナイダーはCM界から映画監督になった口だが、その点ではイメージを延々見せても飽きさせない手腕はあるようだ。ただ逆に感覚的な分物語りは薄いので、それは覚悟しなければいけないかもしれない。筋肉馬鹿国家スパルタの王が「正義」だの「民主主義」だの言っても白けるだけだが、これは単に美しく絵画的なビジュアルを見せる為の繋ぎというか付け合せというか方便程度に受け取るしかない。そもそもこの映画に血しぶきと死体を期待していても正義と民主主義を期待する人なぞいないだろう。

スパルタ兵の皆さんは赤いマントに裸、盾と剣と槍というシンプルないでたちだが、逆にマッチョな肉体をこれでもかと誇示する意味では正解だろう。しかしみんないい体している。筋肉馬鹿の面目躍如である。その敵役ペルシャ軍はというと、それと対比するように多種多様のビジュアルを見せてくれてこれも楽しかった。象とか犀とか黄金仮面とか不細工な巨人とか枚挙にいとまが無い。何よりペルシャ王のセクシー過ぎる衣装と巨躯と低い声だ。おまけにこいつホモっぽくて実にキャラが立っている。映像はこれでもかとスローモーションを多用し効果を上げているが、スローじゃない普通の演技の時は動きがヘボイというのはご愛嬌というものだろう。全編CG処理の為幾分息苦しい映像になっているが、この息苦しい人工感がウリの映画なのだとも言えるだろう。

という訳で最後に【こんな《300》はイヤだ!】というのを書いてお茶を濁そうかと思いマス。

【こんな《300》はイヤだ!】
・300人全員がオカマちゃんである。
・300人全員がサンバカーニバルの格好をしている。
・300人全員がフルチンである。
・300人全員がツッパリで木刀を持って戦う。
・300人全員がメイドさんである。
・300人全員が永田町の官僚・閣僚である。
・300人全員が鉄道駅が全部言える小学生である。
・300人全員が100歳を超えた老人。全員のトータル30000歳以上。
・300人全員が落語家で「テケテンテンテン」とお囃子に乗って戦う。
・300人全員がお相撲さんである。
・300人全員がコスプレーヤーである。ガンダムや戦国武将がいる。
・300人全員が車田正美キャラである。
・300人全員がサザエさんキャラである。

……お粗末さまでしたッ!!

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