ハピネス/古屋兎丸

ハピネス (IKKI COMICS)

ハピネス (IKKI COMICS)

少年少女たちの不安定でちょっと危ない現実を描いた短編作品集。ただもうこの歳になると少年少女の心象とかどうでもよくなるなあ。感受性の強い時期というのはあって、それは世界を学び知るための成長期だからこそなのだろうな。そこで自分は世界とどう渡り合っていくのか腹を決めなければならない訳で、青年期というのはその学習期なんだろう。そしてその時期に学んだことから現実をどう処理するべきか習得するのが大人になるということなんだろう。
だから今少年少女たちの心象にたいして興味が無いのは、それはもう自分はやっちゃったことだし、既に学んじゃったことだからだろうな。問題なのはそこからどう現実に繋げていくか、または繋げないか、それだけだもの。逆にそんな少年少女たちの物語でも、まだ見るべきものがあるのだとしたら、その作品を鑑賞する者が少年少女だった頃に見落としてきたものを描いているような非凡な作品ということが出来るし、それはつまりテーマとして普遍性を持っているからだという事が出来るだろう。
結局最近流行っているような漫画にあまり興味が持てないし読んでも面白くないのは、基本的に少年少女の物語以上のものではないことと、もはやオレの年齢はあれらの作品のターゲットではないのと、また逆にあれらが一定の年齢しかマーケットとして興味がないような作りをしているからじゃないかな。この『ハピネス』では性に戸惑い性に振り回される少年少女たちが描かれるが、もうオレの歳だとそんなこと言ってる場合じゃないしなあ…。