デトロイト・テクノ大豊漁

■FROM THERE TO HERE AND NOW /DJ ROLAND

From There to Here & Now

From There to Here & Now

DJ Rolando が大ヒット・ミックスCD『Nite Life』以来3年ぶりにNRKに復活! DIsc-1はディープ・ハウスを軸にデトロイトものを織り交ぜたバウンシーな完全フロア仕様! Disc-2は打って変わってレイドバックなホームリスニング/エレクトロニカ系のトラックを中心としたディープな選曲。こちらの方はあまり馴染みがないだけに一聴の価値ありです!
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=955264&GOODS_SORT_CD=101

DJ ROLAND、URを離れてからのDJ-MIX第1弾。彼が在籍していたLOS HERMANOSの初来日時には既に参加していなかった、という話をライブを観に行った後に知ってオレなんかは拍子抜けしたものだが、これを聴くと彼が何故URを離れたのかがよく判ったような気がする。これまでの彼のDJ-MIXと比べると何処までも伸び伸びとしたものを感じるのだ。UR在籍当時に彼が発表した2枚のMIX-CDは、URテイスト満載の実に楽しめる内容だったが、それはあくまでURのディスクを回すDJのひとりの作品、といった内容以上のものではなく、DJ ROLAND自身の個性はというとどこか希薄な気がしていたからだ。URという集団はマスコミを信じず、また参謀のMAD MIKEはメディアに決して登場しない、というきわめて徹底した閉鎖主義でもって独自のテイスト、音楽に対する態度を守ろうとしており、それが唯一無二の圧倒的なデトロイトテクノサウンドをリリースし続けるための条件だったのであろうが、インタビューなどを読むとDJ ROLANDは逆にそのような体制に不自由さを感じていたようなのである。言ってしまえばURとはMAD MIKEなのであり、MAD MIKEの思想の下で統制された集団である以上、それには逆らえないという歯痒さがあったのだろう。
だから最初このアルバムを聴いた時は、予想していたようなUR節が聴き取る事が出来ず、多少戸惑ったことも事実だ。だがその先入観を抜きに聴きなおした時、このアルバムの非常にソウルフルなグルーヴが聴こえ始め、DJ ROLANDの決断が決して誤ったものではなかったことを確信した。しかし勿論、180度違ったことをやってるわけではなく、そこはデトロイトテクノの血が流れるDJ、しっかりとデトロイトサウンドもフォローしている。URから離れたと言っても、やはり彼はデトロイトの音を愛しているのである。
CDは2枚組だが、1枚目はハウスも織り交ぜた叙情性を見せ、感動的な仕上がりとなっている。2枚目は彼による初のダウンテンポもので、これも定番のスエーノ・ラティーノをクライマックスに挟み、美しく伸びやかなサウンドを聴かせている。


■"RADIO UR...VOL.01" mix by DJ SKURGE [UR064]
ASIN:B000LPRLBU

DJ SKURGE、URナンバー”064”。ここに記されたプレイは、新たなる”UR ASSAULT DJ”として活動を開始する序章たるもの。Jeff Mills、Surburban Night、DJ RolandDJ DexDJ S2、DJ-3000…猛者の系譜を継ぐ、新たな才能をここに紹介します。(帯より)

片やURの新たなDJ、DJ SKURGE。DJ ROLANDの項では批評めいたことを書いたが、しかしURとして新たにこういったDJが輩出されるのは決して悪くは無い。コミューンの中で才能を伸ばすものもおり、そこから離れることで才能を伸ばすものもいる、というだけの話だ。このDJについては詳しいことは判らないのだが、URというフィールドの中でプレイすることの喜びと若々しさに溢れたDJ-MIXとなっている。しかしこのCDで初めて知ったが、URのメンバーでなければプレイ出来ない門外不出のトラックというものがあるらしく、ここではそれを聴くことができて面白い。


■OFF THE GRID / OCTAVE ONE

Off the Grid

Off the Grid

Jeff Mills、UR、Carl Craigらと並び、世界のアンダーグラウンド・ミュージックの至宝と称される”Octave One”。”マシンとソウルの融合”と定義されるデトロイト・テクノの本質に迫るライブ録音、ワールド・ワイド・ツアーの記録。(帯より)

デトロイトテクノの重鎮、OCTAVE ONE久々のアルバム。事デトロイトテクノ関係に関してはアルバムのリリースが気まぐれで、何年も出さないかと思えば突然力のこもった2枚組を出したりなど、どこまでもマイペースなところがまたデトロイトテクノらしいなあ、などと思ってしまう。そしてこの通算4枚目となる今作は、なんとDVDと同時発売だったりする。OCTAVE ONEは別名ユニットでR.N.G.(RANDOM NOISE GENERATION)を主催するが、このCDとDVDではそれが連名となっている。OCTAVE ONEのイメージといえば何といってもアルバム『The Collective』に収録の名曲『I Beleave』の肯定的で美しいメロディだが、このアルバムではダークでぶっとくて攻撃的なリズムが応酬します!(試聴


■COLLIDED ENERGY /DARK ENERGY
ASIN:B000M2EARA

サバーバン・ナイト=ジェームズ・ペニントンによるもう一つの顔であり、アンダーグラウンドレジスタンスを象徴する重鎮プロジェクト、ダーク・エナジーのファースト・アルバム。(帯より)

James Penningtonのプロジェクト、SUBURBAN KNIGHT/DARK ENERGYの曲はいろいろなデトロイトもののDJ-MIXで聞いたことがあったけれど、こうしてまとめて聞くとまた感慨深かったりする。この人も名曲多いよなー。彼の曲はよく言われるようなダークなものというよりメランコリックな展開が特徴なのだと思う。そしてデトロイト・テクノ特有のロマンチズムに満ちたメロディもまた美しい。