オレとロシア! (その1)

■ロシアンマフィア発砲事件
北海道の事を書いていて思い出したお話があったのでちょっと書こうかと思う。
オレの実家は北海道の漁港なんだが、ここ、ロシア漁船も寄港するんですね。で、これに乗船してるロシア人船員の裏収入源が、実は漁で獲れたケガニの横流しなんですよ。ロシア船が自国の為に獲ったケガニを、より売値の高い日本、即ちオレの町でこっそり売り捌いてるんですね。漁業法とかどうなっているのかはよく知らないんですが、これって基本的には違法なんじゃないのかな。まあなにしろ、そんなことが行われているわけです。
これに目をつけたのがロシアンマフィア。ロシア漁船の日本での効率の良い裏商売を組織的に行おうと、はるばるロシアからやって来てオレの町に居を構えていたんだといいます。つまりオレの実家はロシアンマフィアの住む町でもあるんですな!そしてこれが結構儲かっていたらしく、オレの町に住むロシアンマフィアはそれに増長して本国のマフィア組織に造反したらしいんですな。詳しい事はよく判りませんが、売り上げを誤魔化したとか上納金を渋ったとかそういうことだったのでしょう。それに対しかんかんに怒った本国マフィアは、オレの町に住むロシアンマフィアに制裁を加える為ヒットマンを送ったのです!
ヒットマンは道東から潜入したという話です。観光客を装っていたのでしょう。日本までは船で来たのか飛行機で来たのかは判りません。なにしろ道東からレンタカーを借りて、道北にあるオレの町に向かったというのです。ヒットマンはオレの町に到着し、裏切り者のドンとその情婦を見つけ出して拳銃で射殺し、そして逃げ去ったそうなんです。ただ、後で判ったのですが、ヒットマンが撃ち殺したのはナンバー2であり、本当のターゲットであるドンと間違えられて殺られた、ということらしいです。ヒットマンはレンタカーでそのまま来た道を戻り、本国へ帰還しようとしたのですが、ここで警察に捕まってしまいます。殺人容疑ではありません。なんと彼はスピード違反で捕まり、その時の事情徴収で事件が発覚したと言う訳なんです。なおこのヒットマンは、暗殺終了後拳銃をオレの町の港から海に捨てたらしく、警察が大規模な海浚いをしたのだそうですが結局見つけられなかったんだといいます。


■すぐそこにあるロシア
オレの住んでた町って日本最北端の地、稚内地図)と言うところなんですよ。そしてここからさらに北に行くと現在ロシア領になっている樺太があるんですな。

樺太(からふと)は、日本列島最北端、北海道の北に位置する樺太島{露:Сахалин(サハリン)、中:庫頁島(クイェとう)}を指す地域名称である。 また、この名称は、日本領有下において南樺太及びその付属島嶼を指す行政区画名として使用された。 現在はロシア連邦が自国領である北サハリンに加え、南部も実効支配しているが、ソ連サンフランシスコ講和条約に調印しておらず、日本政府は国際法上、南樺太は所属未定地であるとしている。また、太平洋戦争において日本本土最後の地上戦が行われた。
『樺太』 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本本土最後の地上戦!大日本帝国ソビエト連邦との戦いがあったと言うわけですな。オレの町にはこの時の戦没者の方達の慰霊碑があったりもします。
日本と樺太はどれぐらい離れているのか?というのを調べてみました。これによると『サハリン島最南端のクリリオン岬から北海道の宗谷岬までは直線距離で43㎞で、東京−千葉間の直線距離に相当』するとの事。つまりオレの町から43Km先はロシア領ということです。この樺太は晴れた日などに北の海の彼方に島影を見ることができます。子供の頃から、海の向こうに見えるその島を眺めながら、「ああ、あれはよその国なのだな」と奇妙な感慨に耽っていたことを憶えています。以前も書いた事がありますが、1983年の大韓航空機撃墜事件はこの樺太の近海で起こった事件で、当時はオレの町の海岸には被害者の遺留品が幾つも打ち揚げられていたと言います。