逃亡日記 / 吾妻ひでお

逃亡日記

逃亡日記

失踪日記』で奇跡とか言いようのないカムバックを果たした吾妻ひでお氏の、その『失踪日記』の現場検証&足取りをたどったインタビュー集。漫画もちょろっとあります。カクサシャカイだのストレスシャカイだのと言われ、ココロのヤマイにかかる方も増えている今日この頃ですが、下流で下界で下魚で下品で下劣な「底辺命」のオレなんかもいつドロップアウトしないとも限りません。ちなみに底辺は高さを掛けて2で割ると3角形の面積が出ますよ。というかオレ、ホームレスになってないというだけで「窓際」とか「隠居」とか「たそがれ」とか「燃えないゴミ」いう言葉の似合う殆どドロップアウトみたいな人生やってますけどね。よく浮世離れしてるって言われるしね。どうも世間のことはあまり判ってあげたくないし話題にしたくないという捻くれた人間のようです。多分世をスネているんだと思います。いったい何があったんでしょうか。どっちにしても大人気ないですねぇ。
こういういつ何時社会のシステムから放り出されるか判んないオレですから、このあたかも「ホームレスマニュアル」みたいな本って結構我が事のように読んじゃいましたよ。実際アル中とかうつ病とか人事じゃないですよ。もう毎日楽しくお酒飲んでますよ!時には眠い目を擦りながらお酒飲んじゃったりしてますが、何がオレにそうさせるのでしょう!あとうつ病ってやつなのかどうか判んないけど相当いい歳までダメダメな人生だったのは確かですね。でもダメ上等!ダメ万歳!と思うことにしたら道が開けましたよ。後で気付いたらケモノ道でしたが。でもケモノ道はどこに辿りつくか判らないスリリングさがありますよ!そしてやっぱりどこにも辿り着けないというスリリングさもありますね!ところで実はオレこの間会社でちょっと偉くなったんですが、最初の仕事が不良社員への退職勧告だったんですよ。職務として淡々とやっちゃいましたが、これだっていつ自分に降り掛かる事か判ったもんじゃありません。明日は我が身です。まあオレなんざ家庭も財産も守るものも無いので何とかなるかとは思いますが、ホームレス生活のシミュレーションとイメージトレーニングだけはしておいたほうがいいかな、と思いました。
本の後半は吾妻氏の生い立ちや漫画家生活などが語られます。石ノ森章太郎氏と手塚治虫氏のファンで、劇画は大嫌いだったとか。オレも漫画体験は何か共通するものがあったなあ。しかし石ノ森章太郎氏の最高傑作は「マンガ家入門」だった、という意見には思わず頷いてしまった。そして自らの著作を語る部分では、昔読んですっかり忘れていた作品名が沢山出て、再読してみたくなりました。「スクラップ学園」って今手にはいらないんだなあ。