追い討ちをかける

会社のANAさんは顔が雨上がり決死隊の宮迫にそっくりなのだが、更にその大きさが1.5倍ぐらい増量しているという顔面お徳用サイズの男である。20代半ばで既に妻子持ちであるが、嫁が沖縄出身というただそれだけの理由でオレから「キジムナー」という理不尽な渾名を付けられている。しかし性格は温和でおっとりしており、仕事も出来るいい男だ。
そのANAさんと電話で話していたときのことだ。
妙に声に元気がないANAさんをオレはいつもの調子でからかったのだった。
「どうしたのだ!家庭でもうまくいってないのかよ!」
するとANAさん答えるに、
「ううう…。そうなんですよう…。」
…。
”そうなんですよう”ってANAさん…。
図星なのかよ!
というかANAさん、別に正直に言わんでも…。
いらん事を突っついてしまったなあ、と思い、さすがのオレもANAさんにスマンノオと謝り、御座なりだが励ましておく事にした。
「そっかあ、いろいろ大変だと思うが、めげずにやってくれるといいさ!」
「ううう…。」
「♪見〜ろよ〜青い〜空〜白い雲〜 そ〜のうちな〜んとか なぁあるだぁろぉおぉ〜」
「なんか聴いた事がある歌ですねえ…。」
「わはは、クレイジーキャッツだ!
♪カネの無い奴ぁオレんとこへ来い!オレも無いから心配すんなぁ〜
…つう歌だ。
今回の場合だと
♪愛の無い奴ぁオレんとこへ来い!オレも無いから心配すんなぁ〜
ってところかな!」
「…ううう…うううううううう〜〜〜〜ッ!!」
しまった。


追い討ちを掛けてしまった。