HIGH TECH SOUL

High Tech Soul The Creation Of Techno Music [DVD]

High Tech Soul The Creation Of Techno Music [DVD]

デトロイトの街、デトロイトの旋律
デトロイト・テクノ。それはエレクトロニカ/テクノ・ミュージック・シーンの中でも特別の位置にある。
かつてモータウンの町として知られ、フォーディズムによる車産業が画期的な経済的興隆を成し得たデトロイトは、成功を求めた多数の黒人労働者が流入し一大黒人都市となって発展した。しかしその後の車産業不況は多数の解雇者を生み出し、さらに人種差別が問題化し、州軍が導入されるほどの暴動へと繋がっていった。街は焼かれ瓦礫と化し、白人達が郊外へと逃れた後、廃墟のデトロイトに残ったのは貧しい黒人達ばかりが住むゲットーであった。
そんな希望の無い街で黒人の若者達が夢想したもの、それは”ここではない何処か”である遥か彼方の宇宙の叙事詩、そしてハイテクノロジーの未来を幻視するソウル=魂の音楽だった。
この映画『HIGH TECH SOUL』はドキュメンタリーの形を取りながら、デトロイト・テクノを生み出し、それを愛し育ててきたデリック・メイホアン・アトキンス、ケビン・サンダーソン、ジェフ・ミルズらDJ達の証言で構成され、何故デトロイト・テクノデトロイト・テクノたり得たのか、何故それが世界中のクラバー達に熱狂的に受け入れられたのかを浮き彫りにする。


インタビューが中心の構成になっており、DJプレイの様子などは紹介程度なのでちょっと注意。
映画ではデトロイト・テクノの代名詞とも言える名曲『Strings of Life』をクリエイトしたデリック・メイがインタビューの中心となり当時のことを語るが、茶目っ気たっぷりな能弁さがイメージと違っていて面白かった。しかしそのおどけた顔の裏側には音楽に対する真摯さと情熱が見え隠れしてる。
アンダーグラウンドレジスタンスはやはり名前だけ語られ、マッド・マイクは絶対顔を出さないってのも話通り。それからデトロイト・テクノの人ではないが、リッチー・ホーティンがインタビューに登場し限りないリスペクトを捧げている姿に感慨深いものを感じた。


オフィシャルHP:http://www.jvcmusic.co.jp/hightechsoul/
トレイラー:http://www.jvcmusic.co.jp/hightechsoul/asx_ram/v-00745B.asx