ポップアート1960's→2000's at 損保ジャパン東郷青児美術館

ピクサー展の後に新宿へ。損保ジャパンに入っている東郷青児美術館で『ポップアート1960's→2000's リキテンスタインウォーホールから最新の若手まで』を見てきました。


しかし1日に美術館2つ!しかも両方とも高層ビルの上!一日二回高層ビルとは、オレはそんなに高い所の好きな男だったのでしょうか。
ポップアートというとウォーホールリキテンスタインですか。あとは、…えーと知りません。というわけでお勉強がてら観る事にしました。上記ビッグネーム二人の作品はあちこちで見たことがありますが、オリジナルはサイズが大きいのでとても鮮烈に目を奪いますね。というか、ポップアートってオリジナルという概念自体を捨てた所がありますけれどね。


ポップアートムーブメント後のミニマルアートへの流れはどうにも退屈でたいして興味も無かったのですが、ここで展示されていたヴィック・ムニーズらの作品は見ていて面白かったですね。食玩みたいな小さな玩具を並べて一つの大きな絵にしたり、同じようにダイアモンドを並べたりパンチ穴を開けた後の丸い屑を並べたりして絵にしてるんですが、要するに下らないんですよね。あとチョコレートシロップで名画を模倣した作品(ヴィック・ムニーズ《オランピア(チョコレートの絵画)》)とかね。その判りやすい馬鹿馬鹿しさが楽しかったです。なんかこう、ゲージュツだからって深い意味とか哲学とか込めない、見たまんまのあからさまさがポップアートだったってことでいいのかな。


そしてこれが21世紀に入ってくると『可愛い』をテーマにしたマリーナ・カポスなんて人が現れて、このへんなんかは見てすぐ伝わってくるんですよね、「うん、可愛い」って。そして展示の最後はオレの大好きなデイヴィッド・ラシャペルのオリジナル・プリントが並んでるじゃないですか。これも「ああ、馬鹿なことやってんなあ」という楽しい作品で、勿論その「馬鹿なこと」の背後には高いスキルとセンスと時代性があればこそなんでしょうが、オレは単純に「おもしれえなあ」と思えたからそれでいいんです。
結局、ムツカシいアートってゲージュツの為のゲージュツって気がするんですよ。実はそれらは現在あるアートの批評的な機能を果たしていて、決して無意味なものではないのですが、アートの中心に居る人間でないのなら無理して判る必要も無いんじゃないですかね。こういう肩肘の張らない気楽さがポップアートのいいところなんでしょうね。


■ロイ・リキテンスタイン《泣く少女》1963年、アンディ・ウォーホール《$9》1982年
    
■ピーター・ハリー《ジョイ・ポップ》1998年、ヴィック・ムニーズ《オランピア(チョコレートの絵画)》2000年
 
■デイヴィッド・ラシャペル《ゴム風船(ワンダーブレッド)》2002年、マリーナ・カポス《059,ロニー,2002》2002年
 


損保ジャパン東郷青児美術館http://www.sompo-japan.co.jp/museum/


ところで損保ジャパン東郷青児美術館には”あの”ゴッホのひまわりが所蔵されているんですよね。
会場の最後のコーナーに常設されていたんですが、「ふ〜ん、ゴッホねえ」などと思いながら現物を見たのですが。
いやこれがなんと。
オレかなり嘗めてました。
凄かったです。
単なる花の絵なのに。
肌が粟立ちました。
魂がこもるとか霊が宿るというのはこういうものを言うんでしょうね。