夏休み納涼特別企画!夏だ!ホラーだ!チキチキ・SFホラー2本立てマラソンレビュー!!《その③》

■ヒューマン・キャッチャー

F・F・コッポラ製作総指揮、『ジーパーズ・クリーパーズ』の続編。
すいません。本当にすいません。またもや「アメリカのク○ド田舎で能天気なワカモノどもが惨殺されまくる」という映画です。一応今回は「23年に一度23日間人間を捕まえて食っちゃう」という都市伝説っぽいクリーチャーが現れるのですが、まあどっちにしろ惨殺は惨殺ですな。ちなみにこいつ蝙蝠みたいな羽生やしていて手裏剣まで使いやがんの。おまけにオサレに帽子まで被っていやがります。
それにしても何でいつもアメリカのク○ド田舎ではワカモノたちが殺されまくるのでしょうねい。アメリカの凶悪連続殺人と言うのは都市でも郊外住宅地でも起こっているのでしょうが、こちらが舞台だと警察が関わってくるからホラーではなくクライム・ストーリーになっちゃうんでしょうか。でも『ブギーマン』や『エルム街の悪夢』は郊外住宅地が舞台なんじゃないかな。都市伝説と都市部のゲットーを絡めたクライブ・バーカーの『キャンディマン』なんて秀作もあったしね。
思うに、アメリカの、こういう映画を作ったり観たりする世代や社会的レベルの人というのは、ホントは田舎が大嫌いなんじゃないのか?田舎憎んでいるんじゃないのか?とさえ思えてきますよ。当然その中にはク○ド田舎の住民の知的水準の低さや保守的で時代錯誤的な生活・政治的態度への嫌悪や冷笑があるんでしょう。まあオレはアメリカの田舎の人がどういうもんか知らないので、それが合ってるのか間違っているのか判断できませんが。また、都市部に生きる人間が自然の持つ無秩序で混沌としている有様に圧倒され蹂躙される恐怖というものの含まれているのかもしれません。区画整理された公園の緑と違い、アメリカの殆どの土地を覆う未開の荒野や原野は、都市の生活しか知らないアメリカ人にとっては人間性を否定する暴力的な光景に映るのでしょうか。
さて映画はクリーチャーの殺戮の物語であると同時に、息子を殺された男の復讐の物語でもあるんだね。これって「悪魔のいけにえ」の1と2の関係とちょっと似ているなあと思ったのだった。


オープン・ウォーター

オープン・ウォーター [DVD]

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キューバダイビングに出掛けたカップルが潜っているうちに船に置いてけぼりにされ、鮫の泳ぐ海のど真ん中で生死の境を彷徨って…という実話を元にした映画。
実話だけにドキュメンタリーっぽい映画に仕上がってます。だからスリラー映画として観ようとすると演出が淡白、というか皆無で、盛り上がりに欠けるんです。この題材だと”海外衝撃事件の再現フィルム!”みたいなTV番組で10分ぐらいのプログラムとして収まってしまうでしょう。90分弱の映画として観るとなるとこれでは飽きてしまいます。撮影や音楽ではったりかまさないと持たないんじゃないですか。題材に頼っちゃって見せ方に工夫がありません。撮影もビデオだし、途中で無意味に挿入される観光地の映像も緊張感を殺ぐし、「鮫のいる海!」とか言いながらなんだか泳いでいる鮫は記録フィルム見せられているみたいだし。うーん、これやっぱりTV用に作られたんじゃないの?
映画のほうは海に取り残されたまま刻々と時間が経ち、カップルの焦燥、怒り、絶望、恐怖が描かれるのですが、なーんかだらだら描かれて感情移入しないんだよな。映画後半は鮫にじわじわとなぶりものにされてゆく恐怖を描いてますが、ラストも含めなんかイヤーな気分になるだけなんですわ。これ、『ブレアウィッチ・プロジェクト』を観た時のうんざり感とよく似てるなあ。だから『ブレア〜』好きな人は案外面白く観れるかも。
それよりも、スキューバポイントまで運ぶサービスの船が、彼らを何故置いてけぼりにしてしまったのか?という部分のほうが怖かった。あれは有り得るかもなー。