夏休み納涼特別企画!夏だ!ホラーだ!チキチキ・SFホラー2本立てマラソンレビュー!!《その②》

悪魔の棲む家

同じタイトルで1979年に映画化されたものの再映画化ですが、なんでも実話なんだそうです。過去に一家全員が惨殺された家を買った家族が、その亡霊に悩まされ、次第に過去と同じ悲劇の引き金を引きそうになると言う話。そういえばこれ、舞台がホテルだとまんま『シャイニング』ですね。だったら『シャイニング』観とけば十分だって気もしますが。
事実だけで考えると殺人事件云々以前に、収入に見合わない家を買ってしまった旦那が困難な資金繰りで神経が参り、この家が欲しいと最初に言った嫁さんを逆恨みし、さらに郊外から田舎と言ってもいいこの場所に越してきた家族が土地に慣れなかった為に不安が増幅した、というのが事件の真相なんだと思いますけどね。そこに過去の殺人事件を付け加えると、なんだかおどろおどろしい話になりますが、殺人事件があったという事実が旦那にとって無意識的な強迫観念になって、過去を繰り返してしまいそうになっちゃう、ということじゃないですか。因縁だの呪いだのの真相って案外そんなものですよ。結局人間って心に闇が出来るとその中にどんなものでも見てしまう、ということなんじゃないですかね。本当に怖いのは幽霊なんかじゃなく人ですよ、人。でも幽霊が本当にいるかどうかは置いといて、ヤヴァイ雰囲気のある家って実際あるんでしょうねい。ブラッカイマー製作ということではったりの利いた演出は各所でなされていたが、全体的にこじんまりし過ぎていたかも。
(↓こちらが1979年版。3作までシリーズ化されたらしい。)
悪魔の棲む家 [DVD]

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■クライモリ

クライモリ デラックス版 [DVD]

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インチキ臭い邦題と若いムスメ達が恐怖に顔を引きつらせているDVDジャケット、そして製作にあのしょうもない映画『ブレアウィッチ・プロジェクト』の人間が絡んでいる、と云う所から、またありがちなキャンプ場大量虐殺モノかと思って適当に観る事にしていたらこれが結構良く出来ていた。
今回の敵役の皆さんは例によってアメリカのド田舎の便所みたいな小汚い家に隠れ住むフリークス3兄弟。どうも近親婚で生まれた精薄で畸形という設定らしい。ここは基本形ですな。こいつらの正体は早くからはっきりする。それぞれが弓、斧、銃と得意分野が分けられているところが面白い。
対するヤラレ役もそれぞれ立場や生活の背景がはっきりしていて人物造型がこの手の映画にしてはあることはある。その辺のお馬鹿チャンなガキというわけではなく、どちらかというとオトナなんである。
フリークス3兄弟の目的は無差別殺戮ではなく狩猟。こいつら人間食ってたんだね!だから食っちゃう為に森に迷い込んだ人間を殺している。どこかリビドーの裏返しだったこれまでのホラー映画の殺戮者と違って目的意識がはっきりしている。魚でも動物でもやっぱり釣ったり猟でころしたものは食ってやるのが仁義だよね。だからこのフリークス3兄弟は仁義ある殺戮者ということが出来るね!
というわけでこの映画は狩る者と狩られる者の追跡・脱出劇として成立しているんだね。だから展開がスピーディーではったりかました恐怖演出が少ない。実にスマートなのだ。
舞台はタイトル通り延々と森森森なのだが、その中で森の監視塔という舞台は新鮮だった。
これでフリークス3兄弟がもう少しルックス的にもキャラ立ちしていれば記憶に残るホラー映画になったかも。あれじゃあ見ようによっては単なる3馬鹿兄弟だもんなあ。