夏休み納涼特別企画!夏だ!ホラーだ!チキチキ・SFホラー2本立てマラソンレビュー!!《その①》

”ムキになって映画を観るシリーズ”という訳でもないのですが、今回は夏休み納涼特別企画としてSFホラー映画のレビューを1日2本づつ5日間に渡り計10本お送りしたいと思います。SFホラーと言いながら殆どホラーだったけどね…。ホラー嫌いな人はこの5日間我慢してくだっせえ。
それにしても5日分のエントリもう書きあがっていて、さらに10日分ぐらいストック書き溜めてあって、それでもまだエントリ書いているオレの生活ってなんなのでしょう。こっちのほうがホラーなのかも…。


サウンド・オブ・サンダー

タイムトラベルが可能になった未来、”何か”を過去から持ち帰ったばかりに進化の系統が狂い、現在がタイム・ウェイブと呼ばれる進化の波に晒され、異様な自然現象や未知の生物が次々と現れる。主人公達はこの危機を乗り越える事が出来るか?
えー、原作は読んだ事はないのですがレイ・ブラッドベリですからどこかファンタジックな作品だったのでしょう。この映画ではパニック映画として描かれますが、もとがSF御伽噺だったのでしょうからガチンコで描いちゃうとやはりテーマに現代性がなくてジュブナイル読まされているような拙い物語のように見えてしまいます。タイムトラベルが可能になったんなら「6500万年前にタイムトラベルして恐竜狩り」なんかやってないで他にもっとすることがあるんではないかと。そして事故が起こる原因もあんな行き当たりばったりでいいの?だいたい《タイム・ウエィブ》ってナニよ?どっからどうやって来るのよ?などなど突っ込み所満載です。空虚なCGが画面いっぱいに踊りますが緊張感も臨場感も薄いです。そんな訳で大雑把で大味な作品になってしまったことは否めません。ただ進化の系統樹が狂って現れる生物の姿は、ドゥーガル・ディクソンの『アフターマン』を髣髴させるものが多少なりともあります。子供向けと思って割り切って見ると昔懐かしのSFチックな味わいもあると思います。監督のピーター・ハイアムズはSFからB級アクション、ホラーまで撮っている職人監督ですが、『カプリコン1』と『2010』は結構好きでしたね。
(↓原作『いかずちの音』収録のレイブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』)
太陽の黄金の林檎 (ハヤカワ文庫NV)

太陽の黄金の林檎 (ハヤカワ文庫NV)



■MARVEL Presents 巨大怪物 マンシング

MARVEL Presents 巨大怪物 マンシング [DVD]

MARVEL Presents 巨大怪物 マンシング [DVD]

ええと、簡単に言うと沼の主が公害企業に怒って町の人々を次々と血祭りに上げてゆく、といったようなオハナシであります。だったらお馬鹿カップルばかり襲ってないで矛先は公害企業だけにして貰いたかったのですが、なんでもそこはネイティブアメリカンの聖地だったらしく、そこを侵した人間全てが憎い!滅ぼしてやる!ということなのだとか。そういった意思があるのでこれは「ゴジラVSヘドラ」の公害怪獣ヘドラとはちょっと違います。なんだかLOTRのエント族みたいでちょっと説教臭いモンスターです。そういった訳で物語のほうも公害企業とその陰謀を暴こうとする警察官、環境保全を叫ぶ市民達が中心で、結果的には公害企業の悪辣な経営態度がワルモノ、ということなので、マンシングはなんだか影が薄い上に恐怖感が足りません。途中で出てくる鰐の剥製造りの兄弟のほうがまだ邪悪な臭いさせてたもんナア。だいたい夜中に沼をうろちょろしてるだけじゃないっすかコイツ。せこいよお前。これじゃ沼の精が自然を大切にしよう、とパトロールに回ってるみたいで、グリーンピースの教条映画に見えてしまいます。やっぱりね、公害企業の非は途中で認めさせてしまって、そして命乞いをしているにも拘らず工場も町も全て壊滅させ人々を皆殺しにしようと暴れまわる無慈悲な化け物・マンシングと決死の覚悟で対決する、みたいな物語のほうが良かったんじゃないかな。モンスター・ムービーとしてね。勿論ラストは町中火の海、辺りは屍累々、お約束として主人公とガールフレンドしか生き残ってない、というのではどうでしょう。あ、アメコミのマーヴェルが原作なのね。ふうん。
(↓アメコミ版でのマンシング)